新型コロナウイルスの感染拡大が日々伝えられる中、各地でいわゆる「デマ」による生活必需品の品薄が相次いでいる。マスクに引き続き、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品をまとめ買いする人が多く現れた結果、一時的に店頭から姿を消した。

その一方で、新型コロナウイルスの影響により、消費に大きな打撃を受けた業界もあるようだ。



お花、お花、、切花を、、、

買ってください。

卒業式や謝恩会が中止になったために、本来は卒業生や先生方にお渡しする花束になるはずだった切花が余り過ぎている花屋が出ている模様。
切花もナマモノですから、売れなかったら廃棄です。もったいない。

トレペを買う代わりに、ぜひ切花を。。。

このような投稿をtwitterにしたのは「元花屋」を名乗るリエアサイ(@RieKimijima)さん。

この背景の一つには、安倍首相が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして、全国の小学校、中学校、高校、特別支援学校に対し、春休みまで臨時休校とするよう要請したことにある。卒業式や謝恩会の中止や縮小によって、花束を贈る機会の減少が予想されているのだ。

リエさんが「トレペを買う代わりに、ぜひ切花を。。。」と、トイレットペーパーの代わりに切花を購入するよう、切実に訴えかけたツイートは反響を呼び、6日現在で約7万8000のリツイート、約14万8000の「いいね!」を集めている。

こうした呼びかけはリエさんのような個人だけではなく、実は官公庁もおこなっている。

農林水産省は公式サイト上で、「牛乳やヨーグルトなどを食べていただけるようにご協力をお願いいたします」など、学校給食がとりやめになった影響で行き場を失った乳製品などの消費を喚起するとともに、「3月は、春の花が豊富に出回る季節です。生産者の方々を支えるため、卒業式や送別会が中止・縮小される場合にも、ホワイトデーに花を贈ったり、お家やオフィスに花を飾ってみませんか」と呼びかけているのだ。

(関連記事:「食料品は不足していません!」「牛乳乳製品の消費にご協力を」農水省が新型コロナで国民にお願い

「お家やオフィスに花を飾ってみませんか?」との呼びかけも開始 農林水産省公式サイト「新型コロナウイルス感染症について」より抜粋


一連の呼びかけなどの流れをみると、生花業界をめぐる厳しい現状がうかがい知れるが、実際はどれほど影響しているのだろうか? またこのような状況の中、具体的に何か対策をしているのだろうか? 日本全国にフラワーショップを構える日比谷花壇の担当者に話を聞いた。???

お祝いごとでの花の需要が大きく減少

ーー 1年を通じて、この時期がやはり一番切花が売れる時期?

秋と並んでこの時期、春は挙式の多いシーズンです。また、店頭のショップにおいても、卒業式・謝恩会・送別会の時期に当たります。婚礼・店頭ともに、お花のご利用の多い花の需要期として、年間での繁忙期の山の一つにあたります。

ーー新型コロナウイルス感染拡大での卒業式や謝恩会の中止で、切花の売れ行きは悪くなっている?

3月は本来ならば、ウエディングをはじめ、各種イベントへのお祝いなどで花が多く利用される、いわば需要期となります。

しかし、新型コロナウイルスによる自粛の影響で、ウエディングや大型イベントの中止や延期のほか、卒業式、謝恩会、送別会の縮小などで、お祝いごとでの花の需要が大きく減少しております。ただし、店頭においては、自宅で過ごすことが増えたことに影響されていると考えられますが、3月3日の「桃の節句」における売上は前年をこえております。

ーー切花以外にも影響は出ている?

弊社の販売の中心が切花であるため、そこの影響が大きいですが、フラワーアレンジメントに使用する器などの資材が、中国から入ってきていない、または遅れているなどは、弊社でも発生しております。

ーー店舗での購入だけでなく、予約のキャンセルなども多かったりするの?

イベント用やお祝い用など、少なからずオンラインショッピングのご注文のキャンセルは出ております。法人さまからご注文いただいたお祝い用のスタンド花をはじめ、お祝い花も同様です。

ーー ではいま、売れ残った切花はどうしているの?

事前に、仕入れ調整、販売店舗間での花材の移動や調整をしておりましたので、大きく余っている状況ではございません。ただ一方で、花生産農家の側では需要が減り、出荷できない状態や値崩れなどが出ております。

自宅に花を飾ってもらう企画を予定

ーー今回の取材のきっかけとなったツイートについては知っていた?

存じ上げております。弊社の公式twitterアカウントでリツイートさせていただいております。

ーー農水省が「お家やオフィスに花を飾ってみませんか?」と呼びかけていることについてはどう思う?

弊社としても、農水省のこのような呼びかけを広めていくとともに、さらに業界を盛り上げていきたく、「うち花見」のような取組みを計画しております次第です。

ーーそれはどんな企画? 今後どのような対策を予定している?

弊社自体も、新型コロナウイルスによる自粛の影響を受け、売上は減少しておりますが、全国の花生産農家についても出荷不能や値崩れなどで困っている状況です。

弊社としては、そうした花業界を盛り上げるとともに、家の中で過ごす時間が増えている方に少しでも心豊かな時間を過ごしていただきたい、私たちの扱う花がその役に立てるものと考え、全国のHIBIYA KADAN 、Hibiya-Kadan Styleを対象として(一部店舗除く)、「#うち花見」という企画を3月13日から実施する予定です。

これは毎週金曜、「こんなときこそお花で癒されてみませんか」というメッセージを込めて、対象の切花を「Weekend Flower」として1本110 円(税込)で販売し、自宅でお花を飾って楽しんでもらうというものです。その際、ハッシュタグ「#うち花見」をつけてSNSで投稿いただくことを呼びかけるつもりです。

13日から展開される「#うち花見」のポスター(提供:日比谷花壇)

ーー最後に、何かメッセージを

当社では、このような時こそ、私たちがその力を信じている花が多くの人の心を癒し、 日常を豊かにしてくれるものであり、そのパワーを多くの人にも感じていただきたい、 花生産農家をはじめ花業界を盛り上げていきたいと考えております。

リエさんの言う通り、新型コロナウイルスが生花業界に与えた被害はやはり大きいようだ。

一方で、不要不急の外出自粛やテレワークなどで今、自宅で過ごす時間が増えた人は多いはず。空間に彩りを添え、気分を癒してくれる生花。花生産農家が抱える今の状況を慮りつつ、何かと自粛ムードが漂う今だからこそ、部屋に花を飾ってみるのもよいのではないだろうか。

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