「まるで天の川のよう」
富山市の八重津浜で3月19日未明に撮影された、幻想的な光景の動画が、FNNビデオPostに届いた。
波打ち際で青白い光を放つ物体の正体は…なんと、ホタルイカ!
これは「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる現象で、富山湾の春の風物詩。
15年ほど前から撮り続けているという投稿者は、「昨年がほとんど見ることができなかったので、うれしかったです。波に乗って打ち上がる姿が、まるで天の川のようで美しかったです」と、話した。
なぜ、ホタルイカは青白く発光するのだろうか?そしてなぜこの時期、砂浜に打ち上げられてしまうのか?
ホタルイカの生態にくわしい、富山・滑川市の「ほたるいかミュージアム」の担当者にお話を聞いた。
襲われてていると勘違い?
ーーこの現象は、いつどこで見られる?
春先の新月前後の夜、富山県でのみ、見ることができます。
ーーなぜ発光するの?
ホタルイカは普段、発光しません。
発光する理由は、外敵への威嚇と、外敵から身を守るために、一瞬強く光ることで、フラッシュのような残像を残して逃げていると思われます。
「ホタルイカの身投げ」は、実際には襲われていないのに、浜に打ち上がり、体が海底に触れることで、襲われていると感じて光っているといわれています。
海が暗いことで、迷子になっている可能性
ーーどうして砂浜に打ち上がってしまうの?
普段は、海底で生活しているホタルイカですが、この時期は、産卵のために浮上してきます。
産卵後は、また深海に戻るのですが、月明かりのない新月の夜、目印を失ったホタルイカたちが誤って浜に近づき、波に運ばれて浜に打ち上げられているといわれています。海が暗いことで、迷子になっている可能性がある…ということですね。
2020年は、ホタルイカが豊作の年。例年よりも多く、この現象が富山湾で見られています。
富山湾に春の訪れを告げる、美しいサファイアブルー色の光。
しかし、美しさの裏にある、ホタルイカの命の最期…どこか切ない光景だ。
(執筆:清水智佳子)