カルロス・ゴーン被告が会見で自身の潔白訴える

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告はレバノンの首都ベイルートで1月8日、日本時間午後10時から、自身の身の潔白を訴える記者会見を開いた。

カルロス・ゴーン被告:
私は無実を主張したが、手錠と腰に縄をつけられ裁判所に連れて行かれた。訴えられていることは事実無根であります。私は逮捕されるべきではない

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約2時間25分にも及んだ異例の会見。ゴーン被告は何を語り、何を語らなかったのか。

カルロス・ゴーン被告:
130日間刑務所にいました。狭い独房です。窓もありません。自分の独房で食事をとるだけ。週2回のシャワーをもっと浴びたいといってもだめ。薬です。これもだめ

世界各国から注目を集めていたゴーン被告の会見。驚きの海外逃亡から初めて公の場に姿を現すと、カメラに取り囲まれる中、会見はスタートした。黒いジャケットに身を包み、ピンクのネクタイをしめたゴーン被告。

2019年4月9日に公開された動画ではやつれた様子で沈痛な面持ちだったが、1月8日の会見では…

カルロス・ゴーン被告:
一線を越えたことはありません私は無実です。すべて無実です

記者たちに力強く訴えかける、ゴーン被告。2019年の4月と比べてみると、すこしふっくらした印象で力強い眼差し。口調も堂々としていた。

さらに予定では冒頭の30分間主張を訴え、質疑応答にうつるはずが実際には予定を倍以上、上回る67分間にもおよび自らの主張を展開した。

カルロス・ゴーン被告:
17年尽くし、貢献し、かつて誰もできなかった復活を果たしたのに一瞬でした。検察側と日産経営者、冷徹で欲深く、独裁者だと

日産自動車での成果や思いなどに触れる一方、会見で最も多くの時間を割いたのは日本の司法制度の批判についてで、実に23分に及んだ。

カルロス・ゴーン被告:
別の容疑というのを検察官は考えている。こうしたリストがありますよね。全ての検察側の不正というものですね。これが提示されました証拠もあります。事実もあります。データもあります

証拠と主張する書面を映し出し、潔白をアピールする場面もあった。

そして、最も注目されていたのが日産の役職解任に関与したという人物の名前の公表。1月8日の会見に先立ち一部報道で、日本政府の関係者などの名前が挙がると伝えられていたが…

カルロス・ゴーン被告:
西川前社長が陰謀に関わっていた。日本政府で関わったのが誰なのか申し上げられますが、私はレバノンを愛しています。レバノンを傷つけるようなことは絶対にしません。だから私は自制します

日産の西川前社長ら数名の実名を出した一方、日本の官僚や政府関係者の名前は明かさなかった。

会見で示したものが無罪への決定打とはならず

今回のゴーン被告の主張について元東京地検特捜部の若狭弁護士にお話しを伺った。

元東京地検特捜部 若狭勝弁護士:
政府関係者の名前をあげるような事前情報があったにも関わらず言わない、言えないことはやはり、それほどのものではなかったという見方ができると思います

さらに会見でゴーン被告が提示した証拠とする書類については…

元東京地検特捜部 若狭勝弁護士:
会見で示したものが決定打となって、本来は無罪となるべき事案だったというところにつながるわけではないと思います

一方、ゴーン被告が主張を語った67分間のあとに設けられた質疑応答では…

記者:
これから一生、逃亡者として生きる可能性がありますか?

カルロス・ゴーン被告:
ミッション・インポッシブル(危険な任務)には慣れています。

時には、作業員に扮し、時には、音響機材の大型ケースに身を隠すというゴーン被告ならではの回答もあった。

会見を取材できるメディアはゴーン被告自身が選んだ

そもそも今回、取材が許されたのは、ほとんどが日本以外のメディアで、ゴーン被告が自ら選んだという。会場の外は、中に入れなかった報道陣であふれていた。

さらに、1月8日行われた会見場の入り口にはセキュリティゲートが設置され、報道陣が危険物を持っていないかなど厳重なチェックを受けている。

そうした中、取材が許された数少ない日本の報道陣からこんな質問が…

記者:
日本のメディアが少ないことに驚いています。なぜこんな選別をしたんでしょうか。

カルロス・ゴーン被告:
私は日本のメディアを差別しているわけではありません。日本のメディアの仲間たちが外にいることはわかっています。外にいる人たちは14か月間検察側と日産の言っていることだけを報道しています

ゴーン被告の会見を受けた海外メディアの反応は

世界が注目したゴーン被告の会見。海外メディアにはどう映ったのか。

ベルギーLESOIR紙は「カルロス・ゴーン 日本の陰謀の被害者と説明」、CNNは「ゴーン 逃亡方法についての質問には答えず」、フランスLIBERATION紙は「私は無実」、「私は悪くない」「日本の司法制度は不正義しか言っていない」「会見を見ていた人はイライラ」と伝えた。

賛否が入り混じる中、フランス人記者は…

フランス・フィガロ紙 レジスアルノー特派員:
カルロス・ゴーン被告にとっては意味のある会見だったと思う。身振り手振りで情熱的に伝えようとしていた

ゴーン被告らしさを発揮していたとする一方で…

フランス・フィガロ紙 レジスアルノー特派員:
ゴーン被告への印象は何も変わっていない。何も新しいことを言っていない記者がすでに知っている情報で、つまらなかった

法務大臣からも異例の声明

日本時間の1月9日未明に終わったゴーン被告の会見。その直後には森法務大臣が異例の声明を出した。

森法務大臣:
潔白だと言うのなら、司法の場で正々堂々と無罪を証明すべきである

また、日本の検察幹部は「犯罪者の言い訳に過ぎない」「違法行為は消せない」などと話している。

(「めざましテレビ」1月9日放送分より)

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