ソウル市中心部に貼られた悪質“揶揄”ポスター

ソウル市内に貼られたポスター 「VANK」Facebookより

「TOKYO2020」の文字に東京五輪のエンブレム。そこに白い防護服に身を包んだランナーが緑色のたいまつを掲げて競技場を走る様子が描かれている。

東京五輪の開催が約半年後と迫る中、韓国内ではこのポスターのように科学的根拠を一切示さず、福島第一原発事故と東京五輪を結びつけ、風評被害を助長させる悪質なプロパガンダが後を絶たない。風評被害に苦しむ被災地の人たちや日本人全体を嘲笑し踏みにじるものであり、看過できない事態だ。

スポンサーなどしか使用が許可されていない五輪マークを無断で使用している上、「いかなる種類のデモンストレーションも、あるいは政治的、宗教的、人種的プロパガンダも許可されない」などと定める五輪憲章にも明確に違反しているこのポスター。制作者側は「東京五輪での放射能の安全性を憂慮するパロディーだ」と主張している。

ポスターは1月6日ソウル中心部の在韓日本大使館の建設予定地に貼られたが、すでに撤去されている。

ポスターを作成したのは韓国の民間団体

「VANK」Facebookより

このポスターを作成したのは「VANK」(Voluntary Agency Network of Korea)という韓国の民間団体だ。1991年に設立したこの団体は、旭日旗を「戦犯旗」と主張する動画を作成・公開しているほか、日本海の表記を「東海」に変更させる運動などをインターネット上で展開していて、そのメンバーは10万人を越えるとされる。VANKのFacebookを見てみると1936年のベルリンオリンピックと2020年の東京五輪を比較し、ヒトラー総統とちょび髭を書き加えた安倍首相を並べる動画を掲載していた。もはや度を越えている。

今回のポスターも「放射能による汚染で東京五輪の開催が危険である」という科学的見地に基づかないイメージを国際社会に拡散させる狙いがあるのだろう。

団体の団長は韓国メディアの取材に対して「東京五輪の成功とともに参加選手、観客全ての安全を祈るためだ」とポスター作成の理由を説明し、デザインを担当した人物は「放射能の安全問題を提起するため警告の意味を込めた」としている。

「五輪の成功を祈っている」とは微塵も感じさせないこのポスターだが、未だに団体のSNS上では自由に閲覧できる状態となっていて、このまま放置すれば国際社会への拡散が危惧される。

韓国で後を絶たない“悪質プロパガンダ”

韓国与党・共に民主党が作成した「日本放射能汚染地図」

そもそも韓国政府はこれまで国際会議の場において、福島第一原発で発生した汚染水を浄化した「処理水」の問題を頻繁に取り上げるなど、国際社会に対して風評被害を助長させる言動を繰り返してきた。日本による輸出管理上の「優遇対象国」除外の措置などをめぐり、日韓関係が悪化の一途をたどる中で、原発事故の問題をオリンピックと関連付けることで、日本への対抗措置として利用する狙いなどがあったのだろう。

さらに韓国の与党「共に民主党」は2019年9月「日本放射能汚染地図」なるものを作成・発表。地図は福島第一原発を中心にまるでコンパスで円を描いたように同心円状に汚染が広がっていて、その汚染エリアの中に、オリンピックやパラリンピックの競技会場5つが含まれていると主張する。地形や風向きを考えればあり得ない汚染の広がり方であり、実証的な汚染地図とは似ても似つかないものだ。

さらに地図には測定日時や測定方法が記されていないにも関わらず、与党は日本の市民団体のデータを引用したと発表。しかし蓋を開けてみれば、市民団体に対して事前にデータ引用の連絡もしていなかった上に、団体側からは「合致するデータがない」と抗議を受ける始末だ。ねつ造と言われても仕方ないこの地図だが、与党はこれまで謝罪や訂正もせず“放置”したままにしている。

放置すれば国際社会で“既成事実化”の恐れ

東京五輪の開催が近づくにつれて、韓国内ではこのように根拠を提示せず東京五輪と放射能問題を絡めた悪質なプロパガンダが続出する可能性が高い。

さらに韓国メディアによると、韓国のスポーツ競技を統括する「大韓体育会」は五輪期間中、韓国の選手村に近いホテルを1棟貸し切り、そこで韓国の選手たちに食事を提供する方針を固めた。「放射能に汚染された日本の食材を口にしないため」だという。

国が定めた基準値を超える放射性物質が検出されれば、出荷が制限されるため市場に出回ることはあり得ない。厳格な検査が行われている中で、選手たちが口にすることは一切ないのだ。五輪という世界中が注目する祭典の最中でのこのような行為は風評被害を助長させるだけでなく、日韓関係の悪化にさらなる拍車をかけるものに違いない。

不安を感じるのであれば、科学的見地に基づいて議論すべきだ。日韓関係の悪化を背景として感情的に放射能問題を利用することは今も原発事故で苦しむ被災者がいる中で許されることではない。東京五輪が約半年後に迫る中、韓国側の悪質なプロパガンダが国際社会で“既成事実化”する前に、日本側はしっかりと抗議・反論していく必要がある。

【FNNソウル支局 川村尚徳】

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