他の生物に悪影響も 猛威振るう「ブラジルチドメグサ」

皆さんはご存じだろうか。このところ福岡県内、特に筑後地方で大繁殖している「特定外来生物」を。

女性:
いつの間にかだった

男性:
見る見るうちに。自分の手では無理だと思った

その生物は、静かに猛威を振るっていた。「ただの草?」と侮るなかれ。実はこの草が、生態系への影響はもとより、水害を引き起こすおそれもある危険な植物だった。

福岡・大川市の国道沿いにある農業用水路。水面を覆い尽くしているのは、南米原産の水草「ブラジルチドメグサ」。2018年3月の時点では、ほんの一部だったが。

近くに住む人:
そのままにしておくと、どんどん増えていった。向こうの水路にも広がっていった。コイもいなくなった

水中に光が届かず、他の生物に悪影響が。

近くに住む人:
臭いです。いつでもじゃないけど

葉は、枯れると悪臭を放つこともあるという。大川市内に約300kmあるという農業用水路。そのあちこちに、青々とはびこっていた。

近くに住む人:
この辺のひどいところを全部撤去してもらったが、またこうなった

2019年3月の状態。

大川市クリーク課 今村芳信さん:
(水草の)上を歩ける状況だった。(水はあるが...?)幾重にも重なっていたので

水の流れが滞り、稲作への影響が懸念されたため、市は2019年3月、100万円以上をかけて駆除を行った。

しかし、1年もたたないうちに再び増殖してきた。

大川市クリーク課 今村芳信さん:
今のところ、完全な駆除法が見つかっていない。イチゴ・アスパラ・花など、園芸栽培に(水路の水を)利用しているので、薬剤の散布は難しい状況。

ーー除草剤をかければいいという話ではなく?

大川市クリーク課 今村芳信さん:
そうですね

2カ月で10メートル超…驚異的な成長速度

3月中旬から初夏にかけ、水路や河川で活発に繁殖するというブラジルチドメグサ。最大の特徴は、驚異的な成長速度だ。

福岡県保健環境研究所 金子洋平研究員:
1日に最大で20cm程度伸長すると言われる。1カ月だと5~6メートル、2カ月で10メートルを超える成長力になります

1日に最大で20cm伸びるという茎は、非常に切れやすく、分布をさらに拡大する性質もあるという。

福岡県保健環境研究所 金子洋平研究員:
茎が、水流によって自然に切断され、どんどん流されていくことがわかっています
ーー何もしないでもちぎれる?

福岡県保健環境研究所 金子洋平研究員:
自然に切断されることがわかっている

元は、観賞用の水草として日本に持ち込まれ、野生化。在来種を駆逐するおそれもあるため、2005年、駆除が必要な特定外来生物に指定され、栽培や運搬が禁止された。

福岡県内では、2007年に大川市、柳川市などの水路で大繁殖し、その後、分布は北へと拡大。現在では、福岡市や行橋市でも確認されていて、拡大の理由は水流による茎の切断とは限らない。

福岡県保健環境研究所 金子洋平研究員:
原因は、はっきりとはわかっていないが、ブラジルチドメグサの一部が水鳥などによって運ばれ、分布が拡大したのではないか

繁殖食い止めへ…立ち上がったボランティアたち

早期に繁殖を食い止めようと、若者が立ち上がった地域もある。
久留米市内を流れる河川「小森野川」を訪ねた。

生き物好きの大学生、小宮春平さんがSNSで呼び掛け集まった、約10人のボランティア。ブラジルチドメグサを手作業で引き抜いていく。

テレビ西日本 仲村健太郎記者:
この量ですよ。全部ブラジルチドメグサなんですよね。何箱あるんでしょうか。これ、めちゃくちゃ重いですよ。1箱だけでも

ブラジルチドメグサの駆除を行う小宮春平さん:
表面に生えている分はいいが、下に入り込んでいる茎が取り残しやすい。これが残ると、また生えてきてしまう。浮草のはずだが、完全に陸地まで入ってくるので面倒くさい

駆除を行った現場は、水門のすぐそば。ブラジルチドメグサが繁茂することで、河川の氾濫を引き起こすリスクすらあった。

ブラジルチドメグサの駆除を行う小宮春平さん:
こういうところに生えてしまうと、雨で流れて水門に引っかかり、水門の内側で氾濫する被害も出ている

結局、駆除した量は、約1トンにのぼった。そもそも寒さに強いこの「厄介者」。ことしは暖冬の影響もあり、さらなる脅威になるかもしれない。

(テレビ西日本)

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