あなたは今働いている企業に入社して心から良かったと思っているだろうか?
また、あなたの会社の評判の良さは日本で何位ぐらいだろうか?


そんな気になる情報「新卒入社してよかった会社ランキング」を、企業情報サイト「OpenWork」を運営するオープンワーク社が、10月23日に発表した。

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これは、OpenWork登録ユーザーで、2012年以降の新卒入社でその企業に1年以上務めた20代社員の意見を集めたもの。
会社評価レポートの投稿時に「あなたはこの企業に就職・転職することを親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?」との質問に10点満点で答えてもらい、得点を集計した「新卒入社NPS平均」で順位を付けたという。

気になるランキングトップはグーグル合同会社(日本法人)で社員が付けた平均得点は9.125だった。
2位にはマンション開発や運営を手掛けるコスモスイニシア。
他にもランキング上位にはマッキンゼーアンドカンパニー日本支社、サントリーホールディングス、三菱地所など有名どころがずらり。

10位の特許庁に注目!

世界に名だたる企業が肩を並べる中、ひときわ異彩を放っているのが10位の「特許庁」だ。
唯一の省庁としてトップ10入りし、職員がつけた平均得点は7.727となかなかの大健闘を見せている。
またOpenWorkが5点満点で付けた特許庁の総合評価は★4.41個で、これは官公庁業界平均の★3.13個よりも頭一つ抜きんでている

出典:OpenWork
出典:OpenWork

OpenWorkの分析によると特許庁は官公庁業界の平均と比べて、残業時間が短くて有休消化率が高く、待遇・士気・風通し・成長環境・法令順守意識など全ての項目において業界平均を凌駕しているという。

公務員には、地方自治体に勤める地方公務員と、政府関連組織に勤める国家公務員があり、特許庁の職員は国家公務員にあたることはみなさんもご存じだろう。
また、同じ国家公務員でも自衛隊とは大きく仕事が違うであろうことは想像に難くないが、それ以外の省庁に勤める国家公務員なら、待遇面はだいたい同じようなものではないのだろうか?
なぜ特許庁がダントツで「入庁してよかった」と思われているのか?
高評価の秘密を特許庁自体に聞いてみた。

特許庁の仕事が他省庁と異なる部分があった

――ランキングを知ってどう思った?

特許庁は、特許権等の産業財産権の適切な保護や活用促進等を行っており、いわば、日本の技術開発ひいては経済発展を支える縁の下の力持ち的な存在です。
地道な仕事ではあるのですが、若手に評価されていることは、非常に喜ばしく感じております。

――国家公務員ってみんな待遇は同じじゃないの?

御指摘のとおり、給与・待遇は他の省庁と同じです。

――ではなぜランキング上位に入れたと思う?

特許庁の業務は、高度な技術・法律的知識を活用しつつ、強い独占権である産業財産権を適切に設定するという責任ある仕事を行っております。
また、産業財産権に関する専門性を習得(スペシャリスト)した上で、発明の保護のみならず、創造及び活用に広く携わっています(ゼネラリスト)。
そのように、専門性を有しつつ、最先端の技術等に触れ知的好奇心を日々刺激されながら、知的かつ責任のある仕事を行うことができていることから、職員の充実感も高いのではないかと考えています。

――特許庁の仕事の特徴は?

産業財産権を付与する業務を行っている点で、他の省庁と大きく異なるかと存じます。
例えば、特許審査官は、1件1件の特許出願を登録すべきか否かを、技術・法律的知識を活用して行っております。
学生時代に培った理系としての知識をフルに発揮して、適切に権利を設定することで、日本の産業の発展に貢献しています。
また、審査業務のみならず、事務職員は、幅広い業務に携わるにあたって、常に産業財産権に関する専門性を軸としている点でも他の省庁とは異なる部分があると存じます。

「長時間の残業に向かない業務」

出典:特許庁ホームページ
出典:特許庁ホームページ

――官公庁平均より「残業」が少ないのはなぜ?なにか特別なことをしている?

審査業務は集中を要するため、長時間の残業に向かない業務です。
与えられた時間で最大限集中して効率的に業務に取り組むことができていることから、結果として残業が少なくなっていると考えています。
もちろん、審査業務以外の業務においても、週一定時退庁や月一休暇の取得促進などの取組を進めるとともに、それらを利用しやすい環境作りをしています。

――「有給消化率」が高いのはなぜ?有給が取りやすいの?

環境作りについては前の回答通りですが、特許審査官については原則として独立して業務を進めるため、業務計画を立てやすいこともあり、有給休暇も比較的取りやすいのだと思います。

――職員の「士気」が高いのはなぜ?

人材育成を充実させることで、職員がスキルアップできる環境を整えています。
さらに、希望に応じて特許庁以外の経験の場(他省庁・大学への出向、海外赴任、留学等)を提供しています。

上下関係を意識せずに仕事をしている

――職場の「風通し」がいいのはなぜ?

特許庁全体において、外部からの質問も多く、どのようなレベルのユーザーに対しても丁寧に対応することを心がけていることから、そのような影響もあり、内部においても比較的風通しが良いのではないかと思っております。
また、審査業務に関して言えば、審査官同士は独立し、上下関係を意識せずに仕事をしているため、組織構造上風通しはよいです。
また、日頃、悩ましい案件については周囲に相談しつつ進めるよう促しており、審査官同士での自由闊達な議論が多く見られます。

――若い職員や長期の「人材育成」ついて点が高いのは?

事務職員は、若い職員についてはキャリアパスをどのように歩むのか選択できるよう早い段階でいろんな部署を経験させ、スペシャリストかつゼネラリストを目指す育成・研修等を行っております。

審査官は、入庁後しばらくは審査官補という見習いの期間があります。
この間は、OJT形式(実務による職業教育)で先輩の指導審査官と1件1件議論しながら二人三脚で審査業務を進めていく特徴があり、知識を伝達していく文化は特許庁のひとつの特徴です。
また、計画的に様々な知識・経験が得られるよう、豊富な研修メニューを習熟度に応じてシステマティックに提供しています。
特に、審査官補(入庁からおおよそ4年目まで)には、入庁後から手厚い法律研修が組まれております。

――すごい…逆に他省庁をうらやましいとか参考にしたい思うことはないの?

特許庁の勤務地は主に東京であり、地方勤務の機会は比較的少ないです。
地方の声を聞くために他省庁の取組は参考にしたいと感じております。

――ランキング上位に入ったのは想定内では?

想定はしておりませんでした。
大変光栄に感じています。


え~本当に?と思わず疑ってしまうほど完璧な回答ばかり。
もちろん企業情報サイトでユーザーの意見を一つ一つ見れば低評価な投稿も見つかるが、やはり大概は平均点以上をつけているようだ。公務員は同じ待遇とは言っても、仕事環境はかなり違うのかもしれない。

特許庁に限らず、自分が入った企業を人にすすめたいと思えるのは素晴らしいことなので、これから就職活動をする人は、このランキングを参考にしてみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。