数字に色が付いて見える!?

数字に色が付いて見えたことはあるだろうか。1は赤、2は青など、人によっては数字や漢字に色が付いている人がいるという。

このように数字に色が付いて見えたりすることなどを共感覚という。
共感覚は一つの感覚刺激から、通常の感覚に加えて別の感覚が無意識に引き起こされる現象だ。共感覚には多様なタイプがあり、文字や数字に色を感じる「色字(しきじ)共感覚」、音を聴くと色が見える「色聴(しきちょう)共感覚」などがある。

最も多いとされるのは曜日や月から色を感じる「カレンダー色共感覚」で、他にも味から形、匂いから色、痛みから色、数列やカレンダーから空間配置を感じるものなどがあり、組み合わせでとらえると150 種類以上の共感覚が確認されている。

共感覚が出現する確率は、以前は10万人に1人などとされていたが、最近では約4%の人に見られると言われている。また、遺伝性が見られることが知られているが、祖父母から孫に伝わる事例や、双子でも片方にしか発現しない例、また同じ家系でもタイプの異なる共感覚が発現する例も報告されており、メカニズムはまだわかっていないという。

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そして、Twitterの投稿には「長男がいつも5+3=7と間違えるので、長男に聞いてみたところ、数字に色が付いて見えていた」というツイートもあった。

このツイートには「うちの息子も共感覚者で、人にも名前にも音楽にも色がついてるそう」や「私は大きく波打った図形を見ると赤紫に見えます」などのコメントが寄せられていた。

5+3が7になるというのは数字の色で計算をしているということなのだろうか。ご自身も共感覚の持ち主で、共感覚や感性工学などを研究している関西学院大学の長田典子教授にお話しを伺った。

8が汚く見え、7がきれいに見えるため

ーーツイッター投稿の5+3が7になるのは色で計算しているということ?色がどのように作用しているかなど、わかることがありましたら教えていただければと思います。

8の色が汚く見え、7の色がきれいに見えるために、5+3が7になると考えられます。

ーー共感覚を持っていると計算を間違えやすくなる?

計算を間違えやすくなるというよりは、数字よりも色が勝ってしまっているために起こる現象ですので、共感覚を持っているために計算を間違いやすくなるということではありません。

ーー長田教授の場合、何が何色に見えているのかなど長田教授の共感覚を教えていただければと思います。

0が黒、1が白、2がオレンジ、3が水色、4が赤、5が黄色、6が青、7も黄色、8が緑、9が赤紫に見えます。文字にも色が付いて見え、電話番号や人の名前、歴史の年号を覚えるのに役立っています。

長田教授には数字がこんな色に見える
長田教授には数字がこんな色に見える

ーー共感覚は普段の生活に支障はある?

人によってだとは思いますが、強い人は支障があると思います。色を見ると味を感じる例もあり、外に出るとまずい味ばかり見てしまい、外に出られなかったという人もいます。

メカニズムはまだ解明されていない

共感覚がなぜ生じるのかについてのメカニズムについての決定的な知見はまだ得られていないということだが、現在のところ、異なる感覚部位の間に、共感覚固有の強い神経結合があるという「ハイパーコネクティビティ仮説」と、異なる感覚同士を統合する仕組みがあり、本来流れない別の感覚経路へ信号が流れてしまうというメカニズム「脱抑制仮説」の2つの仮説が支持されている。

普段の生活に支障がでてしまう例もあるということだが、今後研究が進み、共感覚の仕組みが解明されることを期待したい。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。