真冬並みの強い寒気の影響で、6日、北日本では記録的な大雪となり、西日本でも今シーズン初めて雪の降った所がある。関東でも初雪を観測したが、7日土曜は都心でも雪が降る可能性がある。
車の運転には注意が必要だが、冬になると雪の積もった道路や凍った道路を安全に走るため「スタッドレスタイヤ」に交換する人は多いと思うが、そのために欠かせないのが安全に走るためにタイヤの摩耗度合いをチェックすることだ。
しかしガソリンスタンドなどに任せっきりで、タイヤのことは「よく分からない」というユーザーも多いかもしれない。
そのような中、タイヤメーカー大手のブリヂストンがスマホでタイヤを撮影するだけでAIが摩耗度合いを瞬時に診断するサービスを今年から行っているのだ。
このサービスはブリヂストンのグループ会社が展開する「タイヤ館」や、カー用品ショップの「コクピット」のWebサイトで公開しているもの。
2019年6月末から夏用タイヤに対応したサービスを試験的に導入し、9月17日から「スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)」バージョンを展開している。
使い方は簡単で、スマホで該当URLにアクセスし、ガイドに従えばすぐに自動的にカメラが起動する。
そのままタイヤを撮影するとAIが溝をすぐ判断してくれるのだ。
スタッドレスタイヤのような冬用タイヤか夏用タイヤかを指定すると、今の状態でそのまま使用できる「良好」、摩耗がある程度進んでいる「注意」、寿命が近づき交換が望ましい「警告」と3パターンの診断結果を表示してくれ、交換のタイミングが分かる。ちなみに真夏も雪の道路も走れるオールシーズンタイヤは非対応となっているという。
ブリヂストンでは、サービスの使用法も簡単に分かる動画を公開し、タイヤ点検の必要性を周知している。
自分でタイヤのチェックできますか?
ちなみに、普通はどうやってスタッドレスタイヤの摩耗度合いを診断するのかご存じだろうか。
スタッドレスタイヤが徐々にすり減り、溝の深さが50%になった状態が、冬用タイヤとして使える使用限界だ。これを分かりやすく示すためにスタッドレスタイヤの溝には深さが50%以下になった時、タイヤ表面に露呈する「プラットホーム」という部分が用意されている。
ちなみに冬用タイヤとして使えなくなった後も、夏用タイヤとして使うことは可能。さらにタイヤを使い続けて溝が1.6mm以下になると、今度は聞き覚えがある人も多いかもしれない「スリップサイン」という部分が表面に現れる。
こうなるとタイヤは寿命を迎える。「スリップサイン」が出たタイヤを使い続けるのは道路交通法違反になるので気を付けてほしい。
つまり、スタッドレスタイヤの点検は誰でも「見ればわかる」はずなのだ。
それをわざわざAIを使って自動診断するのはなぜなのか?誰に向けたサービスなのか?担当者に聞いてみた。
タイヤを点検する機会が減少している
――サービスを作ったのはなぜ?
お客様のタイヤ点検機会の減少などに対して、タイヤメーカーとして新たなタイヤ点検機会の創出・増加を考えたものです。
――どんなユーザーを想定している?
幅広いお客様に活用いただきたいと考えております。特にタイヤにあまり知識・関心のない方にタイヤ点検を身近に実施頂ければと考えております。
――プラットホームとかスリップサインは、見れば誰でも分かると思うが?
スリップサインはタイヤの周上6ヶ所、プラットホームはタイヤの周上4ヶ所あり、目視でわかるようになっておりますが、より簡易にタイヤ点検を行えるよう、ご提供しているサービスになっています。
タイヤ点検もできるガソリンスタンドが半減
サービスを始めたきっかけは「タイヤ点検機会の減少」だと担当者が話すように、タイヤの点検もできるガソリンスタンドは減少の一途をたどっている。
資源エネルギー庁によると、1994年度末にはピークの6万421軒あったガソリンスタンドは2018年度末では3万70軒と半数以下にまで減少しているのだ。
AIはプラットホームを調べているわけではない
――AIは写真の中からプラットホームを見つけて判断している?
スリップサインやプラットホームを検出するのではなく、撮影した画像からAIが摩耗状況を判断し使用可否を表示するものです。
――オールシーズンタイヤが診断できないのはなぜ?
市場での流通が少なく検証できていない為、診断できないとさせて頂いております。
――サービスの評判は?
お客様の声を収集しているところですが、タイヤ館の店頭で勧めると興味を持っていただける方が多く、やってみたいというお声は多数いただいています。
特に冬になると、積雪などで全国各地で増えるスリップ事故。
あなたが自分の車のタイヤをチェックしたのはいつだろうか? 安全運転にはタイヤが良好な状態であることが不可欠だ。そしてこのツールを使えば、タイヤの見方が分からないから確認しなかったということがなくなるはず。
この冬に事故を起こさないためにも、タイヤをチェックし、安全運転を心がけてほしい。