若き料理長がこだわる「美しさ」
秒単位で肉の焼き加減を細かく調節。前菜の仕上げでは指先の一点に集中する。
カラフルで華やかな料理を次々と生み出すシェフが内田千尋さん(27)。
ANAクラウンプラザホテル岡山にあるフレンチレストラン「ウルバーノ」で、2018年、最年少で料理長に抜擢された。
ウルバーノ・内田千尋料理長:
食べ終わって家に帰っても思い出すような料理を作っていきたい

12月に入り、内田さんが今 腕を振るっているのがプレクリスマスディナー。
一足早くクリスマス気分を味わえる8品のコース料理。

ウルバーノ・内田千尋料理長:
自分が女性だからか、色味とか酸味とか好きで、それを組み込んで、アクセントにするのを、心がけるというより自然に…
料理の味とともに、彼女がこだわるのが「美しさ」。
野菜や果物をふんだんに使い、目で見て楽しめるよう彩り豊かに仕上げている。
食事をした女性:
女性の目線から見て、すごくきれいで、食べるのがもったいないくらい。おいしいし、見た目でも楽しめる料理だった
コースの前菜「カブで包んだホタテとカニのタルタル」。
色鮮やかで、まるでアート作品のような一皿。


岡山放送・森夏美アナウンサー:
いただきます。カニとホタテのうま味がぎゅっと詰まっていて、中にナッツも入っているので、香ばしさがあって、アクセントになっています。これは女性が好きな味ですね
自らの力で夢をたぐり寄せた
岡山・津山市生まれの内田さん。物心ついた頃には、料理への興味が芽生えていた。
ウルバーノ・内田千尋料理長:
幼稚園の時に、スーパーにあるレシピをたくさん集めていた。それをノートに貼ったり、絵に描いたりしていた
小学校の卒業文集では、「大人になったら、調理師になって、たくさんの人たちがおいしいと喜んでくれるような料理を作りたいです。そして、小さな子どもからお年寄りまで食べられる料理を作ってあげたいです」とつづっていた。
津山東高校では、在学中に調理師免許を取得すると、卒業制作の発表会で約40人の同級生の中から最優秀賞を受賞。

その後、現在のホテルに就職し、自らの力で夢をたぐり寄せた。
ANAクラウンプラザホテル岡山・田中智総料理長:
彼女は努力家なので、いろんなところから吸収しながら新しいメニューを考案して、女性らしい料理を作っている
総料理長も太鼓判を押す内田さんの料理。
ランチタイムには、女性たちで座席が埋まる。
一方、内田さんは厨房で3人の部下と一緒に、次々入る注文に追われていた。

ウルバーノ・内田千尋料理長:
悩みとかも皆の前で言えるほうがいいかなと。女の子も多いし、いろいろあると思うので
ウルバーノ調理スタッフ・近藤綾香さん:
年代が近くて、若い料理長なので、相談にものってくれるし、とても働きやすい環境
成長のため挑戦し続ける
部下の信頼も厚い内田さん。今、目指していることがある。
Q.今、描いているものは何?
ウルバーノ・内田千尋料理長:
2020年3月に「トック・ドール」という料理のコンクールがあって、そのレシピを作製している最中。自分のイメージをいざ作ろうと思うと、絵に描いてみないと、色味や味のバランスがイメージがつきにくいので

全国のホテルやレストランの若手シェフが腕を競い合う「トック・ドール」。
内田さんは、全国の予選を勝ち抜いた20人に名を連ね、初めて本選への出場を決めた。
仕事の合間をぬって、大会用のレシピを考えてきた。
ウルバーノ・内田千尋料理長:
一皿見ても彩りよくきれいで、全体でもソースのひき方とかバランスのよさを心がけている
そして、試行錯誤の末、完成したのがこちら。


本選の舞台では、実際に調理して調理工程や出来栄えを競う。
ウルバーノ・内田千尋料理長:
自分の成長のため。一般業務だけでは限りがあるので、何か自分のためになることをしたいと出場を決めた
料理長になった今も、日々挑戦し続ける内田さん。
これからも追い続けるのは、子どもの頃から変わらない「たくさんの人においしいと喜んでもらえる料理」。
ウルバーノ・内田千尋料理長:
女性でも輝けるというか、自分らしい料理を作れると思うので、印象に残るような料理や味を追究していきながら頑張っていきたい
(岡山放送)
