日本人の“国民病”と言われる、「腰痛」。
日本整形外科学会が2003年に公表した「腰痛に関する全国調査」では、男性の57.1%、女性の51.1%が、“治療が必要なほどの腰痛を経験”していることが分かっている。

その腰痛がもたらす「経済損失が年間およそ3兆円に上る」とする試算を、日本臓器製薬と東京⼤学が10月10日に発表した。

日本臓器製薬と東京大学医学部付属病院の松平浩特任教授の共同研究で、9月末から10月初めにかけて、全国の1万人の就労者を対象にアンケート調査を実施。

それをもとに、腰痛による業務遂行能力や労働生産性の低下を金額に換算したところ、経済損失は年間およそ3兆円に上ると試算されたのだという。

かなりの金額の経済損失となったが、なぜこうした調査を行ったのか?また、腰痛を防止するためにはどうすればよいのか?
日本臓器製薬の広報担当者に聞いた。

「腰痛借金」がたまり続けると仕事に影響を及ぼす

――このような調査と試算を行った理由は?

腰痛を“腰にたまる借⾦”と例えた⾔葉がありまして、それが「腰痛借⾦」です。

⻑時間のデスクワークやスマートフォンの操作で、前かがみの姿勢を続けていることで腰まわりにある背⾻に負担がかかり、腰痛が発⽣しやすくなる状態を指します。

この「腰痛借⾦」がたまり続けることで腰痛が重度化し、仕事やプライベートの⽣活習慣に影響を及ぼすようになります。

こうした背景のもと、⽇本臓器製薬と東京⼤学医学部付属病院の松平浩特任教授との共同研究では、腰痛をはじめとする⾝体の痛みが労働⽣産性にどのように影響するのかを全国的に調査。
「腰痛借⾦」による経済損失額を算出し、腰痛が年間およそ3兆円という大きな影響を日本経済に及ぼしていることを明らかにしました。

――アンケートではどのような質問をした?

以下のようなことを質問しています。

・健康上の問題や不調の中で、仕事に一番影響を及ぼしている健康問題をお答えください。
・過去1か月間に、何日間、その症状がありましたか?
・症状がないとき(通常時)に比べ、症状があるときはどの程度の仕事量になりますか?
・症状がないとき(通常時)に比べ、症状があるときはどの程度の仕事の質になりますか?

腰痛防止におすすめ「これだけ腰痛体操」

――腰痛を防止するためにはどうすればよい?

東京大学医学部付属病院の松平浩特任教授が提唱されている「これだけ腰痛体操」をはじめとする、運動習慣をつけることが、まず第一歩だと思います。

――「これだけ腰痛体操」というのはどんな体操?

長年にわたって腰痛の臨床と研究に取り組んでいる、東京大学医学部付属病院の松平浩特任教授が考案した、シンプルな体操です。

方法は簡単で、座り作業で前かがみの姿勢が続いたときや重い荷物を持った後などに、足を肩幅よりやや広めに開き、両手を支点に腰をしっかり反らす。
そして、息を吐きながら、最大限、反らした状態を3秒間、保つ。
これを1~2回やるだけなので、仕事や家事の合間に短時間で行うことができます。

東京大学ホームページから抜粋

――腰痛を防ぐための運動習慣、具体的には?

「エレベーターを使わず階段を使う」、「座りっぱなしの場合は、立ち上がって体を動かす」など、だと思います。


デスクワークやスマホの操作で現代病ともいえる腰痛だが、労働生産性が下がるだけでなく、体を動かさなくなり、ぎっくり腰など他の病気のリスクも高まるという。
そうした状況に陥るのを防ぐためにも、「これだけ腰痛体操」のような運動習慣をつけることが重要なようだ。