AIで地域活性化

人工知能AIを使って地域活性化を進めようと、香川県三豊市に研究拠点施設がオープンして10月14日で半年となった。半年間でAIに興味を持つ人が増え、新しい取り組みが始まろうとしている。

8月、三豊市でAIに関する講演会が開かれた。講演を行ったのは、香川県坂出市出身のAI研究の第一人者、東京大学大学院の松尾豊教授だ。

AIの第一人者 東京大学大学院 松尾豊教授:
AI分野は動きが早くて、若い人が一生懸命勉強するとあっという間にトップクラスになる。半年一年とやっていくうちに、すごいところまで達することができるので夢がある

松尾教授は、AIで地域活性化を模索していた三豊市に共感し、今年4月、全国で初めてサテライト研究室、MAiZM(マイズム)をオープンさせた。
講演会や集中講義を開いて、AIの技術者を育成し、新しい事業を起こしてもらおうと考えている。

AIの第一人者 東京大学大学院 松尾豊教授:
いろいろなプロジェクトが立ち上がり、ここからスタートアップ(起業する人)が誕生することを期待する

AIはここ最近、機械が自ら学習するディープラーニングという手法の登場で、劇的な進化を遂げている。特に、カメラを使って画像を認識する能力が向上。これにより自動運転の研究などが進み、私たちの身近な生活に大きな変化をもたらそうとしている。

世界各地でAI関連の産業が生まれていて、三豊から世界へ挑戦するのも夢ではない。

高専の学生が新製品を試作

松尾さんが目を付けたのが、市内にキャンパスを持ち機械工作の専門教育を行う、
国立の香川高等専門学校。学生にAIを搭載した新製品を開発してもらおうとしている。

AIの第一人者 東京大学大学院 松尾豊教授:
高専の学生は機械や電気などのハードウェアスキルが高い。そこにAIのディープラーニングを組み合わせることで活用の可能性が広がってくると思う

一方、学生も胸を膨らませていた。

香川高専4年 白井陽大さん:
東大の先生すごいな。ディープラーニングのことをいっぱい知っていてすごいなというのがあって目標です。将来あんな感じで何かに長けた人になりたい

この半年間、東京にいる松尾さんの代わりに、松尾さんからノウハウを学んだ高専の教師などが、AIの技術を教えてきた。その結果、香川高専の学生のチームが、新製品の試作にこぎつけた。

高さ6メートルの鉄の柱にカメラが付いている。駐車場に設置してAIで混雑状況を分析する装置だ。

前川裕喜記者:
カメラが映している駐車場です。この駐車場には16台止まっていてカメラでも16台検出されています

しかしこれからが正念場。分析は大量のデータを基に行われるが、分析の精度を上げるため、車の形や影の出来具合など状況が異なる様々なパターンの画像をAIに学習させないといけない。その画像の収集にはかなりの時間と労力が必要なのだ。

香川高専4年 白井陽大さん:
たくさん実証実験をして得たデータを基にデータセットを作り、また繰り返し精度を向上させたい

装置が完成すれば、混雑情報を発信でき行楽地などで重宝されそうだ。
今回の経験を通して学生は明確な目標を持つようになった。

香川高専4年 白井陽大さん:
ビジネスは自分たちは素人だが、このシステムが日本中、世界中に広まって人の役に立ってほしい

地元企業もAIに興味津々

AIを地域の活力に。その最新技術を企業に浸透させることも、地元経済の活性化には欠かせない。

三豊市 山下昭史市長:
今、企業が抱えている人手不足や生産性の問題。これを改善していくのが第一歩

しかし、地元企業との連携は、時間がかかりそう。
三豊市豊中町にある食品会社「味のちぬや」。業務用コロッケで全国シェア1位、売り上げは202億円と市内屈指の企業だ。

味のちぬや事業促進部 合川達雄部長:
味のちぬやとしてもMAiZMに乗っかっていって、なおかつ自分たちも活躍できる場を広げたい

現在、人が行っている商品の検品作業をAIで効率化したいと考えている。しかし、システムの開発で障害となるのが、先ほどと同じく学習させる画像の収集だ。

味のちぬや事業促進部 合川達雄部長:
うちのコロッケは300種類くらいあり、一つ一つ大きさも違い形も違う。パン粉も色が違う。それに画像をそろえるのは相当苦労する。ただ現状そこまで取り組めていない

こうした現状から開発には時間や費用がかかり企業の負担が大きい。松尾さんはその苦しみを理解しつつ、前に進み続けることが大切だと呼びかけている。

AIの第一人者 東京大学大学院 松尾豊教授:
最初の一人、ファーストペンギンになるのが大変。スタートアップを作るのも最初の一社ができて、そこが上手くできると広がっていく。(今後のためにも)最初の一例目を作るのが大事

松尾さんが地方でまいた夢の種。
少しずつ芽を出しているが、花を咲かせるにはもう少し時間が必要だ。

(岡山放送)

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