2024年度に摘発された失業保険の不正受給額は約5億5000万円。
その不正の一端を追いました。
東京・町田市にある美容整形クリニックに各労働局やハローワークから届いた大量の郵便物。
その全てが、このクリニックで作成されたとされる診断書が失業保険の不正受給に利用されている疑いがあるため調査したいという内容でした。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
全く心当たりがないので、ちょっと恐怖というものを感じた。
クリニックが作成したとされる診断書には1つの共通点があったといいます。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
身体的なことではなく、心の問題の病名が多数。我々は美容クリニックですので、そういったことについて修練を積んだドクターではない。精神病について我々から示唆はするが、診断書を書くということは決してしない。
このクリニックは美容整形が専門のため、精神疾患について診断書を作成することはないといいます。
にもかかわらず、各機関に提出された書類には医師の署名がありました。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
少なくとも私の名前ではないというのがひとつ。もうひとつは当院に在籍しているドクターではない。
書類に押されていたクリニックのものとされる印影も見覚えのないものだったといいます。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
クリニックのハンコとしては我々が作ったものではない。
在籍しない医師の署名と偽の印鑑が押された診断書。
この偽の診断書によって不正に失業保険を受給した人物がいるとみられます。
失業保険の不正受給については、全額返還だけでなく、その2倍の額の納付が課され、実質3倍の額の返還を命じられるほか、詐欺罪にあたる可能性もあります。
クリニックにはこうした偽の診断書に関する問い合わせが、2026年に入ってから毎月、大量に届くようになったといいます。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
1通1人分ではなく、中には3人、10人、ひどいときには20人とか。体感では100人ぐらいはいるのかなと累計で感じている。
クリニックの惟村院長は、労働局などの調査に対し、“照会のあった診断書は自身のクリニックで作成したものではない”と報告したということです。
一方で、同様の問い合わせが現在も寄せられ続けているため、その確認作業によって本来の業務に支障が出ているといいます。
THE FIRST CLINIC・惟村公郁院長:
一度カルテを何年かさかのぼって確認して、さらにダブルチェック、トリプルチェックというのを、私だけでなくスタッフも一緒になって確認することをしている。かなりの労働を割いている。
国民生活センターによりますと、失業保険の申請サポートに関する相談は2025年度内に604件に上り、4年間で15倍にまで急増。
センターは不正受給を促すような悪質業者の存在に警鐘を鳴らしています。
