裁判のやり直し、つまり再審の5回目の申し立てが進む大崎事件。無実を訴える原口アヤ子さんのもとを、福井県で起きた殺人事件で2025年に再審無罪となった男性が訪れた。「アヤ子さんが命あるうちに何とか勝ち取りましょう」。冤罪被害者ならではの言葉が、原口さんにかけられた。
「福井事件の前川と申します」
原口さんに声をかけたのは、冤罪被害者の前川彰司さん(61)である。前川さんは1986年に福井県で起きた女子中学生殺人事件で逮捕され、有罪判決を受けた。一貫して無実を訴え続け、7年間の服役を経て再審を申し立てた。そして2025年、無罪判決を勝ち取った。
現在は冤罪被害の救済に向けた活動に取り組んでいる。大崎事件で冤罪を訴える99歳の原口さんを激励したいという思いから、今回の面会が実現した。
前川さんは「福井事件の前川と申します」と原口さんに自己紹介した。続けて、次のように語りかけた。
「私の事件は再審無罪になりました。アヤ子さんが命あるうちに何とか(再審無罪を)勝ち取りましょう」
原口さんも時折うなずくなど、言葉に応じているようだった。面会後、前川さんは「第5次再審請求をした時に彼女を訪れることができて大変良かった」と振り返った。
30年以上、再審を求め続ける原口さん
大崎事件は1979年、鹿児島県大崎町で起きた。牛小屋の堆肥の中から、中村邦夫さんの遺体が見つかったのである。殺人などの罪で10年間服役したのが、中村さんの義理の姉にあたる原口さんだ。原口さんは一貫して無実を訴えている。
現在は5回目となる再審の申し立ての審理が、鹿児島地裁で進んでいる。30年以上にわたり再審を求める原口さんの姿に、前川さんは自身を重ねたという。
「長い時間、暗いトンネルでした」
面会に先立ち、原口さんの支援団体による報告集会が開かれた。前川さんは講演を行い、自らの経験を語った。
前川さんの事件も、大崎事件と同じ経緯をたどっている。再審開始決定が出ながら、その後に取り消されたのである。前川さんは声を詰まらせながら、当時の心境を明かした。
「長い時間、暗いトンネルでした。つらいでしょうけど、諦めたらいけないということです。絶対に」

さらに、事件そのものへの見方にも触れた。
「殺人事件ではないという判断をするのが常識的、道理にかなった判断ではないか。殺人事件というふうに立件した判断が間違っていたと私は感じた」
次回協議は2027年1月
審理が進む大崎事件の第5次再審請求は、2027年1月に次回の協議が予定されている。再審無罪を勝ち取った前川さんの言葉は、長く闘い続ける原口さんと、その支援者たちにとって大きな励ましとなったに違いない。
【動画で見る▶【大崎事件】再審無罪の前川彰司さん来鹿 原口アヤ子さんを激励】

