47年間、無実を訴え続けた女性の叫びが、8本の鑑定書に込められた。鹿児島県大崎町で起きた「大崎事件」の第5次再審請求審理において、弁護団が新たな証拠を鹿児島地裁に提出した。法医学者や臨床医による鑑定書はいずれも、確定判決が認めた「絞殺」という死因を否定するものだ。
47年前の牛小屋で何が起きたのか
1979年、鹿児島県大崎町の牛小屋の堆肥の中から、中村邦夫さんの遺体が発見された。この事件を巡り、中村さんの義理の姉・原口アヤ子さん(99)が殺人などの罪で起訴され、懲役10年の判決を受けて服役した。しかし原口さんは一貫して無実を主張し続け、現在も鹿児島地裁で5度目となる再審請求の審理が続いている。

事件発生から47年が経過した今も、原口さんの訴えは変わらない。弁護団共同代表の鴨志田祐美弁護士は「47年間『自分はやっていない』と言ってきた人にとって、本当に耐え難いほどの時間がかかりました」と語り、長年にわたる闘いの重さを改めて示した。
死因「絞殺」を否定する8件の鑑定書
10月15日、鹿児島地裁で第4回進行協議が開かれた。協議は非公開で行われ、弁護団が検察側と裁判官に新たな証拠の内容を説明した。
今回の第5次再審請求において、弁護団の主張の柱となっているのが、臨床医と法医学者による合計8件の鑑定書である。大崎事件は物証に乏しく、確定判決の根拠となったのは、原口さんの共犯者とされた親族3人による「中村さんをタオルで絞殺した」という自白だった。

8件の鑑定書はいずれも、中村さんの死因が絞殺であることを否定している。さらに、遺体発見の数日前に中村さんが経験した自転車での転落事故が致命傷となった可能性を示すものだという。弁護団はこれらの鑑定書をもとに、確定判決を支えてきた自白の信用性を崩す構えだ。
鴨志田弁護士は協議後の会見でこう強調した。「法医学と医学だけで8本というものすごい数の鑑定をそろえて、絶対に負けないという意気込みで闘っています」。

次回は検察側が意見を示す見込み
今回の協議で弁護団は大筋での主張を終えた。次回以降は検察側から意見が示される見込みで、次回の協議は2027年1月12日に予定されている。
鴨志田弁護士は「再審開始決定が出たときには直ちに再審公判へ進むと確信している」と述べ、審理の行方に強い自信を見せた。
事件発生から47年。鹿児島県大崎町という地域に深く刻まれたこの事件の真相は、今もなお法廷の中で問い続けられている。
【動画で見る▶【大崎事件再審請求】事件から47年 弁護団 絞殺否定する新証拠提出】

