2018年に2人が殺害された奥田交番襲撃事件の差し戻し審は、7日に第2回公判が富山地方裁判所で開かれ、裁判官と裁判員が事件で使われた凶器を実際に手にとって確認した。「パン、パンという音が聞こえた。拳銃を構えた島津被告と目が合い、恐怖で逃げた」——1審の証人尋問を録画した映像の中で、目撃者はそう振り返った。
90人が傍聴席を求めて列 島津被告は車いすで入廷
5日から始まった差し戻し審は、7日も富山地方裁判所の前に一般傍聴席を求める90人が並んだ。島津被告を乗せたとみられる車両が裁判所に入り、第2回公判が始まった。
富山県立山町出身の元自衛官・島津慧大被告は、2018年6月に富山市の奥田交番を襲撃。稲泉健一警部補(当時46)を刃物で殺害し、その後奪った拳銃で奥田小学校前にいた警備員・中村信一さん(当時68)を射殺したとされている。
5日の初公判と同様、島津被告は黒のスーツ姿で車いすに乗って入廷した。
凶器の斧とナイフ2本を法廷で確認
7日の審理でまず行われたのは、検察が請求した証拠調べだ。

交番襲撃時に島津被告が持っていた斧とナイフ2本が、ケースに入った状態で法廷に用意され、裁判官と裁判員が1人ずつ手にとって確認した。

これまで法廷でどこか一点を見つめていた島津被告も、ナイフが示された瞬間、一瞬目をやった。
目撃者の証言映像 「取っ組み合いになった」「恐怖で逃げた」

証拠調べに続いて行われたのは、1審の証人尋問を録画した映像の確認だ。
事件当時、奥田交番にいた交番相談員は映像の中で、「金属みたいなものでドアを叩く音がした。向かうと男がナイフを持っていた。稲泉所長と取っ組み合いになった」と証言した。
また、中村信一さんとともに奥田小学校近くで警備をしていた男性は、「パン、パンという音が聞こえた。拳銃を構えた島津被告と目が合い、恐怖で逃げた。私を狙っていると思った」と話した。
島津被告はこれらの証言をうつむいたり、首を回したりしながら聞いていた。
なぜ「差し戻し審」なのか
2021年の1審で富山地裁は、「殺人罪」と「窃盗罪」の成立にとどまるとして、無期懲役の判決を言い渡した。しかし2審は、判決に「事実誤認がある」として裁判のやり直しを命じた。これが今回の差し戻し審にあたる。
1審から裁判官と裁判員が入れ替わっているため、差し戻し審では事件当時の状況を改めて確認する審理が中心となっている。今回の証拠調べや証言映像の確認も、そうした流れの一環だ。
判決は12月8日の予定
差し戻し審の第3回公判は10月16日に開かれる予定だ。そして判決は12月8日に言い渡される見通しとなっている。
2018年に地域社会を震撼させた奥田交番襲撃事件。事件から8年以上が経過した今も、深い傷として残るこの裁判の行方を、多くの市民が注視している。
(富山テレビ放送)

