富山市の国勢調査をめぐり、富山県警は3日に統計法違反の疑いで富山市役所を家宅捜索した。5日にBBTの取材に応じた元市職員は「40万人を切ると痛い、辛いという声が、下に降りていくうちに至上命令のようになった」と、組織内で「忖度」が働いた可能性について言及した。

捜査員10人が市役所5階へ
家宅捜索が行われたのは、3日土曜日の午前10時。富山県警捜査二課の捜査員約10人が、国勢調査を担当する市役所5階の企画調整課に入った。


捜索は午後1時過ぎまで続き、県警は国勢調査の関係書類や内部の連絡文書などを押収した。
今回の捜索の背景にあるのは、富山市が今年5月に報告した国勢調査の速報値だ。その数字は40万人あまりとされていたが、確定値の39万人台と比べると、2000人以上水増しされていた疑いがある。総務省はこの問題を受け、先月29日に統計法違反の容疑で県警に告発していた。
富山市の藤井市長は「本庁舎内への捜索が行われたことを大変重く受け止めている。捜査には全面的に協力する」とコメントを発表した。
「40万都市」というステイタス、忖度が水増し生んだ可能性

なぜ、このような水増しが行われたのか。富山市の元職員・小椋真吾さんが5日にインタビューに応じ、その背景を語った。
「職員の立場からすると、40万都市というステイタスシンボル」と小椋さんは話す。上の立場の人間が「40万人を切ると痛い、辛い」とポロッと口にするだけで、周囲の職員がその言葉に過剰反応する。それが下の階層へと伝わっていくうちに、「至上命令」のような形に膨らんでいく——そういった心理が働いたのではないかと、小椋さんは分析する。

組織の中で、誰かが明確に「水増しせよ」と命令したわけではないかもしれない。しかし、上層部の一言が空気を作り、現場が「何とかしなければ」と動いてしまう。そうした忖度の連鎖が、今回の事態を引き起こした可能性がある。
全容解明へ、動機や目的を捜査

富山市は富山県の県庁所在地であり、地域の中核都市として「人口40万人」という規模は行政上のステイタスとして機能してきた。その数字を守りたいという意識が、組織全体に広がっていたとすれば、問題の根は深い。
富山県警は今後、関係者への聴き取り捜査も進め、水増しが行われた動機や目的を含めた全容の解明を急ぐ方針だ。統計は行政の基盤となるデータであり、その信頼性が損なわれることの影響は、富山市にとどまらない。捜査の行方が注目される。
(富山テレビ放送)

