東京オリンピックのフェンシング日本代表として活躍したストリーツ海飛選手が、鹿児島市の高校を訪れ、若きアスリートたちに直接指導を行った。「鹿児島の若い選手のためにオリンピックに出場して、メダルを狙いたい」——そんな熱い言葉を残したストリーツ選手の特別授業は、高校生たちにとって忘れられない一日となった。
鹿児島への思い、「特別授業」実現の背景
9月29日の夕方、ストリーツ海飛選手は鹿児島市の鹿児島高校を訪問した。アメリカ人の父と鹿児島出身の母を持つストリーツ選手は、サーブル種目の日本代表として2021年の東京オリンピックに出場した実力者だ。
今回の特別授業は、ストリーツ選手自身の強い希望から実現した。鹿児島にゆかりを持つ同選手が「鹿児島の若い選手を育成したい」という思いを抱き続けてきた結果である。単なる交流イベントではなく、選手としての経験と技術を地元の後進に伝えるという、明確な目的を持った場だった。
「細かいところをずっと毎回練習する」 世界レベルの技術指導
練習が始まると、ストリーツ選手はすぐに部員たちに語りかけた。「フェンシングで一番大事なこと、細かいところも、ずっと毎回練習する。自分がフットワーク始めるときは同じことを毎回やる」。基礎の反復こそが競技力向上の根幹だというメッセージは、シンプルでありながら説得力に満ちていた。

実戦練習では、高校生たちが果敢にアタックを仕掛けた。ストリーツ選手は高い技術で応じながら、細かな改善点を丁寧に伝えた。「ここ(肩)が固いか、持ち手をグッと押さえているから、もうちょっと指を使ってみて」。世界トップレベルの選手から直接受ける具体的なアドバイスは、高校生たちの動きを変えるきっかけとなった。
「1ポイントずつ集中する」 メンタル面の悩みにも答える
実戦練習の後、高校生からはメンタル面についての率直な質問が飛んだ。「もったいない負け方をしたら切り替えられなくて、次の試合に引きずってしまう。切り替える方法は?」という問いに、ストリーツ選手は自身の経験をもとに答えた。
「予選5本勝負でしょ。まずは1ポイントずつ集中する。『この試合勝ちたい、勝ちたい』だったら、勝つことしか考えていない。5本考えるより1本ずつ考えたら、終わったら次の試合を考えられる」。試合全体ではなく、目の前の一本に意識を絞るという考え方は、競技を超えて通じる教えだ。

高校生・代表選手も刺激 「いてくれるだけで学べる」
参加した高校生たちからは、充実した感想が相次いだ。「本当に優しくて、分かりやすく伝えてくれて、自分でここをもっと改善すべきというのを知れた」という声が上がった。
国民スポーツ大会少年女子代表(フルーレ)の永井凜凪選手も、この場に参加した一人だ。「世界トップレベルの人がいる練習は、いてくれるだけで見て学ぶことができる。ストリーツ選手のファイティングの流れとか一試合一試合の動きを見られたので、良い練習になった」と語った。トップ選手の存在そのものが、周囲の選手を引き上げる力を持つことを示す言葉だった。
2年後のオリンピックへ、鹿児島への誓い
指導を終えたストリーツ選手は、高校生との時間を振り返り「すごく教えるのを楽しみにしていて、それ以上に楽しめた」と笑顔で語った。そして次の目標への思いを力強く口にした。「自分のためじゃなくて鹿児島のために、鹿児島の若い選手のためにオリンピックに出場して、メダルを狙いたい」。

鹿児島高校のフェンシング部員たちにとって、この日の特別授業は技術とメンタルの両面で多くの気づきをもたらした。そしてストリーツ選手にとっても、次なるオリンピックへの決意を新たにする貴重な時間となったようだ。地域と世界をつなぐ一人のアスリートの思いが、鹿児島の若い選手たちの心に確かに刻まれた。
【動画で見る▶東京五輪フェンシング日本代表・ストリーツ海飛選手 高校生を指導【鹿児島】】

