秋田市で31年ぶりとなる水道料金の値上げが決まった。人口減少による収入減や施設の老朽化、物価高騰を背景に、市は上下水道事業の維持に向けた大幅改定に踏み切った。安全な水を将来にわたって供給するために必要な負担と、その背景を追った。
家計への影響は避けられず
秋田市議会は9月28日、上下水道料金を引き上げる条例改正案を可決した。
委員会では継続審査との結論に至ったものの、本会議で否決された後に再び審議され、最終的に可決された。
新たな料金は2027年6月の徴収分から適用される。水道料金は約32%、下水道料金は約18%の引き上げとなる。
市の試算では、一般家庭の1カ月当たりの上下水道料金は、1人暮らしで534円増の2728円、2人暮らしで682円増の3179円、4人家族で1529円増の7502円となる見通しだ。
物価高が続く中での値上げだけに、市民生活への影響は小さくない。
31年間据え置かれた料金 経営は厳しい局面に
秋田市の水道料金改定は31年ぶり、下水道料金の改定は24年ぶりとなる。
全国の多くの自治体が10年程度をめどに料金の見直しを行う中、秋田市は施設の統廃合や業務効率化によって長年にわたり料金を維持してきた。
しかし、人口減少による料金収入の減少に加え、物価高騰による建設費や維持管理費の上昇が事業運営を圧迫している。

市民が支払う料金は、電気代や薬品代、人件費などの維持管理費と、将来の施設更新に備える積立金に充てられている。
ところが、市によると2026年度には維持管理費の赤字が見込まれている。
現行料金では、上下水道事業を安定的に運営することが難しい状況にある。
老朽化進む浄水場 更新追いつかない水道管
経営を圧迫する大きな要因の一つが、老朽化した施設の更新だ。
秋田市の水道水の約8割を供給する仁井田浄水場は、稼働開始から60年以上が経過している。耐震性の不足も課題となっており、現在建て替え工事が進められている。
総事業費は約330億円で、10年前に完成した秋田市役所本庁舎の建設費の2倍以上に上る。
新たな施設は災害対応力の向上に加え、水の臭いの原因となる物質を除去する設備も導入し、より安全で安定した水の供給を目指す。
課題は浄水場だけではない。
市内には約2000キロの水道管が張り巡らされているが、老朽化が進んでいる。
市は年間20キロの更新を計画しているものの、工事費高騰の影響で更新ペースは鈍化している。
更新の遅れが続けば、全国で相次ぐ道路陥没や漏水などのトラブルが秋田市でも発生する恐れがある。
積立金の枯渇迫る 市民負担どう軽減するか
施設更新の財源として活用してきた積立金も減少している。
市は、このまま取り崩しを続けた場合、2030年ごろには資金が枯渇するとの見通しを示している。
今回の料金改定は、将来の設備更新に必要な財源を確保する意味合いも持つ。
大幅な値上げに対しては、市民から「税金で補助すべきだ」「他の大型事業より全市民が使う上下水道を優先すべきだ」といった声も上がっている。

しかし、上下水道事業は利用者の料金で運営する「独立採算制」が原則だ。一般会計とは“別の財布”で管理されているため、自由に税金を充てることはできない。
一方で市は、市民負担を和らげるための激変緩和策を検討している。対策案は2027年2月議会までに示す方針だ。
将来の課題 再値上げの可能性も
市は、今回の料金改定だけで将来にわたる収支の安定が実現するわけではないとしている。

現時点の試算では、2030年度にも再び30%程度の料金改定が必要になる見込みだ。
安全な水を安定して届けるためには、老朽化したインフラの更新が欠かせない。一方で、市民生活への負担増も避けられない。
今回の値上げは、人口減少時代におけるインフラ維持のあり方を改めて問いかけるものとなっている。
(秋田テレビ)

