恋愛感情などにつけこまれる「ロマンス詐欺」が多発しています。2025年の認知件数は5645件あり、546億円以上を騙し取られています。なぜ被害者は騙されてしまうのでしょうか。
■最初は「会話楽しい」 でも相手は…
<メッセージのやりとり>
アキオ:「おはよう。今日も君を愛している」
優子さん(仮名):「私はただ普通に会話しているだけですよ」
アキオ:「本気だよ。こんなに話せる人は初めてだ…」
優子さん(仮名):
「あなたみたいな親切にしてくれる人は初めてです。メールの中にメッセージとして『愛してますよ』とか、いつも入っていました」
名古屋市内に住む70代の優子さん。2026年6月、ウクライナで活動する医師の「アキオ」と名乗る男とSNSで知り合い、連絡を取り合うようになりました。

甘いメッセージは毎日のように届き、夫を亡くした優子さんの心には次第に楽しさが芽生えたといいます。
優子さん(仮名):
「恋愛感情は全然ないですね。会話することがすごく楽しいような人でした」
アキオが頼み事をしてきたのは、そんな日々が1カ月ほど過ぎた頃でした。
<メッセージのやりとり>
アキオ:「娘がカリフォルニアに居る」
優子さん(仮名):「娘さん?」
アキオ:「修学旅行でフランスに行くんだ。でもウクライナからはその費用を送金できない。助けてほしい」

金額は170万円で期限は8月3日。典型的なロマンス詐欺です。ただ優子さんは、アキオに不審感を抱いていました。
<メッセージのやりとり>
優子さん(仮名):「本当にお医者さんなんですか?」
アキオ:「疑うなら証明するよ」

届いた画像は、顔写真入りの身分証。しかし、身分証の更新期限は5月で切れていて、優子さんは「あやしい」と感じました。
結局、相談した銀行の職員が詐欺を疑い、被害は免れました。それでも優子さんの心には、ある思いが残ったといいます。
優子さん(仮名):
「振り込まなくてよかったと思う反面、もし本当にその人が困っていて、子供を助けているんだったらいいかなという思いは半分ありました。ちょっとかわいそうなことをしたかなって思う気持ちはありました」
愛情や優しさ、人を思う気持ちを踏みにじる犯罪です。
■「ロマンス詐欺」アプリでも…背景に“ロミジュリ効果”?
SNSの中でも、愛知県内のロマンス詐欺被害の入り口で最も多いのが「マッチングアプリ」です。

愛知県警は9月、39歳の男性にうその投資話をもちかけて暗号資産をだまし取ったとして、男5人を再逮捕しました。
スキマバイトとして募集した女性たちにマニュアルを授け、マッチングアプリ上で接触した男性陣のLINEのIDを入手。報酬と引き換えに、詐欺グループに売り渡していたといいます。

高額被害が多発するSNSを発端としたロマンス詐欺。なぜ、会ったこともない相手に、大切なお金を渡してしまうのか。
犯罪心理に詳しい立正大学の西田公昭教授:
「物理的な環境としては外国だったり、あるいは軍人だったりして『仕事上の任務についていて離れらない』とか言ったりするわけです。『ロミオとジュリエット効果』と呼ばれていますが、あの物語はお互いが愛し合っているにもかかわらず、家同士が敵だったから会わせてもらえなかったわけですね。剥奪感、満たされない気持ち、つらさ、空虚な気持ちを抱えている人にとってのSNSの交流は全く違うんです」

