千葉県北部に位置する印旛沼。台風25号が過ぎ去った後の22日夜、堤防2カ所が決壊し、茶色く濁った水が町に流れ込み大規模な冠水被害が発生した。なぜ大雨のピークが過ぎた後に新たな災害が起きたのか。2つの要因が考えられる中、専門家は降り続いた雨や今後の大雨による新たな決壊の可能性を指摘する。
台風25号が去っても影響が長期化
23日、上空からカメラが捉えたのは…。
記者リポート:
こちらの住宅は周りが水に囲まれ、完全に孤立状態になっています。
印旛沼が決壊し、大規模な冠水が発生。
茶色く濁った水が町を広範囲にわたって飲み込んだ。
千葉県の北部に位置し、北沼と西沼の2つに分かれる印旛沼。
沼を管理する独立行政法人水資源機構によると、決壊したのは北沼の東側など2カ所だ。
印旛沼の水が溢れて住宅が冠水している。
さらに印旛沼から町に流れ出た水が道路を分断し、白波を立てながら河川に合流する箇所もあった。
取材班が23日、決壊による被害を受けた成田市に向かうと…。

記者リポート:
現在、印旛沼の近くに来ています。この先、地元の消防団の方々がここで通行止めにしています。そして、さらに向こう側ですね。完全に道が冠水してしまっています。
自宅が浸水してしまったという女性は、当時の様子をこう説明した。

自宅が浸水した女性:
きのう朝6時くらいに近所の方から「決壊したよ」ってことで電話があって、その頃はこっちの方も全然だったんで、せいぜい床下ぐらいじゃないかなと甘く見て、でいったん息子の方に避難して、帰ってきたときにはもうこっちの方まで、もう水がいっぱいになって、もう変わり果てた状態。
浸水で変わり果てた自宅や会社も
印旛沼が決壊したことで水かさがどんどん上昇。
22日、家族が撮影した写真には、家の中がすっかり変わり果てた様子が記録されていた。

自宅が浸水した女性:
こんなの見たことないからね、まるで夢をみているような状況でしたよね。
取材中も、家族が排水用具を持ち、冠水した道路を自宅に向かって歩いていく様子が見られた。
住宅が浸水し、外に出られない弟がいるという男性は。

弟が外に出られない男性:
今こう何か必要な物とか、なければという話で今来てるんですけども。
弟が外に出られない男性:(Q必要な物資はどうしている?)
とりあえずここだけが冠水しちゃってるので、近くのスーパーとか、ショッピングセンターに買い物行って、ここからちょっと投げる形にはなるんですけど、それでちょっと手渡しでっていう形になるんですけども。
外に出られない弟の男性:(Q中はどんな感じですか?)
もう座敷からリビングから全部もう潜っちゃってますね。

外に出られない弟の男性:(Q1階には行けないですか?)
そうですね、1階はもうぬれる感じで。だいぶちょっとあの今あの膝下より上の高さまでちょっと下がってきてるんですけど、まだちょっとたっぷり残っちゃってますね。
一方、決壊した箇所を見通せる場所で出会ったのは…
養鰻会社「やまきね」臼井優太郎社長:
手前側が今あいちやってるじゃないですか。あそこが決壊しちゃったところって言ってます。

臼井さんはこの地域でウナギの養殖場を営んでいる。
浸水で近づけないため、今は土手の上から自分の会社を眺めることしかできない状況だ。

養鰻会社「やまきね」臼井優太郎社長:
魚の被害はなかったんですけど、機械とかみんなもう水没して使えない状態になってると思うんですよね。もう何千万っていう損害が出るんじゃないですかね多分もう修理したりするのに。無残ですよね。もうもう絶句というかもう。これ、この先片付けてまたやるって言ったらねえ、どうしたらいいのかもうはっきり言って頭が真っ白だわ。
“時差災害”の要因は大雨による水位上昇と河川からの流入か
22日になって判明した印旛沼の決壊。一体なぜ時差災害は起きたのだろうか。
水資源機構によると、2つの要因が考えられるという。

1つの要因は21日に最接近した台風25号による大雨で、印旛沼自体の水位が上昇したこと。

そして2つ目の要因は、印旛沼へつながる高崎川などの周辺の河川から水が流れ込み続けたことだという。
21日午後に氾濫した高崎川。
川の水は住宅街へ流れ込み、佐倉市の一部地域では一時、警戒レベル5の緊急安全確保が発令された。

周辺の河川からは台風が通過した後も印旛沼へ向かって水が流れ込み続け、現在も利根川と東京湾に排水を行っているが、排水が追いつかない状況となり、結果として堤防が決壊。
このようにして時差災害が起きたのだ。

印旛沼の水位は22日午前4時半に、管理を開始して以降最高となる5.04メートルを観測。
専門家は堤防が耐えられる水位を超えた状態が長時間続いたことが決壊につながったと指摘する。

東京理科大 二瓶泰雄教授:
そもそも印旛沼の計画高水位が4.25メートルっていう数値ですけども、それを今回は80センチ程度ぐらい上回るような水位を少なくとも1日以上継続したので、大きな負荷があったのかなと。
印旛沼周辺では23日も断続的に雨が降り続いていた。
記者リポート:
先ほどから強い雨が降り始めました。冠水したエリアにも雨が降り続いています。
今後の雨がもたらす影響について二瓶教授は…

東京理科大 二瓶泰雄教授:
堤防の決壊していないところもですね、かなりの水が染み込んでいるっていうことと、これからさらに雨が降ることによって、思わぬところで堤防が壊れる可能性っていうのがありますので、むやみにこの沼の周辺に近づかないでいただけるといいかなと思います。
(「イット!」9月23日放送より)

