昭和を代表する政治家の一人で、受賞した勲章から「大勲位」と呼ばれた中曽根元総理大臣が11月29日朝、都内の病院で老衰のため亡くなった。101歳だった。
中曽根氏は群馬県高崎市の出身で、1947年に衆院議員として初当選し、運輸大臣や防衛庁長官などを歴任した。
1982年、「戦後政治の総決算」を掲げて総理に就任した中曽根氏は86年、衆参同日選挙を断行して自民党を大勝に導いた。
当時2年だった自民党総裁の任期は特例として3年に延長され、総理総裁として2期5年の任期を全うした。
政策面では旧国鉄や電電公社、専売公社の民営化を実現させ、行政のスリム化を進めたが、大型間接税の「売上税」導入は断念に追い込まれた。
外交面では、当時のアメリカのレーガン大統領と、互いに「ロン・ヤス」と呼び合う蜜月関係を築いたが、一方で1985年の終戦の日に靖国神社を公式参拝し、中国などとの関係を悪化させることにもなった。
晩年は、最高位の勲章を贈られたことにちなんで「大勲位」と呼ばれ、2003年に議員を引退した後も憲法改正に向けた活動などを続けてきたが、最近は公の場に出る機会が少なくなっていた。
昭和に総理大臣を務めた存命の政治家は中曽根氏が最後で、時代の証人がまた一人、この世を去った。
(フジテレビ政治部)