親になろうとしてごめんなさい

虐待死した船戸結愛ちゃんの父親の裁判。

10月宇4日の被告人質問で父親は「私が親になろうとしてごめんなさい。」と涙ながらに後悔を語り、結愛ちゃんが残したメモについても胸の内を明かした。

弁護側:
船戸さんの理想の家族はどんな家族でしたか?

雄大被告:
明るく笑顔が多い家族です

弁護側:
子供の理想はどのようなものでしたか?

雄大被告:
友達が多くて明るく、女の子なので、かわいい子でした

船戸結愛ちゃんの虐待死をめぐる裁判の被告人質問で、家族の理想像を語った父親の雄大被告。結婚当初に抱いていた不安についても明かした。

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弁護側:
プレッシャーはありましたか?

雄大被告:
ものすごく大きかったです。いろいろな面から親としての責任を感じていました。将来、結愛が大丈夫かという不安です。自分も父親代わりになれるか不安でした。大きな不安があって、結婚前から周りから“血がつながっていないことが悪い”と思われるんじゃないかという不安が強かったです

結愛ちゃんにとって両親がそろっていた方がいいとし、優里被告との結婚を考えたという雄大被告。暮らし始めた当初は、勉強や食事など父親として、結愛ちゃんへのしつけにも力を注いでいたといいう。

しつけの一環として最初は「鬼に食べられる」、「お化けが出る」などと言葉をかけていたものの、しつけがうまくいかない苛立ちから手を上げるようになったと話した。

そして結愛ちゃんが死亡する直前の2019年2月下旬の暴行について、雄大被告は「勉強を1人でやらせていて、子供部屋を見に行ったら布団を広げて寝ていました。『なぜ寝ているんだと』厳しい口調で言った。最終的には殴っていくことになりました。両手を使って結愛の顔のどこかを複数回手加減したとも言えない力で殴りました」と語った。

そして、衰弱の末、結愛ちゃんの意識が薄れつつある中での最後のやり取りについて語った。

雄大被告:
意識を確認するために大きな声で話しました。「グーパーできるか」と大きな声で聞いたところ、ゆっくりですが一度目は聞き取って、ゆっくりグーパーしていました

裁判官:
結果的に病院に連れて行かなかったのはなぜですか?

雄大被告:
保身という自分個人に対する意味です

裁判官:
保身とは?

雄大被告:
事件が発覚して、私が虐待した事実にもとづき逮捕され、家族がバラバラになってしまうことです

法廷では、雄大被告が泣き崩れる場面も…それは、結愛ちゃんに対する気持ちを問われたときのこと。

雄大被告:
私が親になろうとしてごめんなさい…そういう気持ちです

そして、女性検察官から、結愛ちゃんがつづったあの許しをこうメモについて問われると…

検察側:
結愛ちゃんが書いたメモを読んでいますよね?どう思いましたか?

雄大被告:
あの子の悲しみとか心の痛みがあれじゃ語り尽くせないというか、私の意向で書かせたことが申し訳ないです

検察側:
どのくだりに悲しみを感じましたか?

雄大被告:
無理やり書かされて、私の機嫌を取るためだけ。そこが一番申し訳ない。情けないです

しつけがエスカレートし暴力に

Live News it!のスタジオではコラムニストの吉田潮さんにも話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
雄大被告は血のつながりがないことへの不安とか、しつけがうまくいかない焦りがエスカレートして暴力に発展したと話しているんですけど、潮さん、これは?

コラムニスト 吉田潮さん:
愛をはき違えているというか、愛の幻想の権化と思ったんですけど、要するにしつけから暴力にエスカレートしたり、あと、支配とか管理って愛じゃないんですよ。しかも家族がやることでもないんですよ。だから、もしかしたらお母さんがこういう男に見切りをつけるだけの自分に自信を持っていれば、こういう事件につながらなかったかなと思ってます

加藤綾子キャスター:
昨日、その母親ももう二度と結愛と息子に近づかないでと言いましたけど、それをもうちょっと早くっていうね

コラムニスト 吉田潮さん:
ああいう男に見切りをつけることが女の人にとって大切なんじゃないかと思います

風間晋解説委員:
質問に対する答えを聞いていて、やはり当事者3人だけだとね、どんどん悪循環、悪い深みに落ちていくというのが、本当に手に取るように分かるじゃないですか。やはり、市とか自治体とかあるいは児童相談所などが、外から引っ張り上げてあげるような働きかけをしないとだめなんだなというのをまた、改めて思いましたね

(「Live News it!」10月4日放送分より)