受賞決定から一夜明け満面の笑顔で「パーフェクト」
ノーベル化学賞受賞決定から一夜明けた10月10日、満面の笑みで出社した旭化成・名誉フェローの吉野彰さん(71)。
―ー体調はいかがですか?
吉野彰さん:
パーフェクト!

ーーきのうは眠れましたか?
吉野彰さん:
ぐっすり寝ました。一杯飲んでぐっすり寝ました
ーー何を飲まれたんですか?
吉野彰さん:
梅酒!
吉野さんが開発したのは充電して繰り返し使えるリチウムイオン電池。

会社で社員がノーベル賞受賞者の吉野さんの写真を撮ろうとスマホを構えるようすも…

これらのスマホにも、もちろん吉野さんが開発したリチウムイオン電池が使われている。

10日午後1時から、妻・久美子さんと一緒に記者会見。
妻・久美子さん:
最高のプレゼントありがとうございます。
吉野彰さん:
今回リチウムイオン電池が表彰対象になったというのは、まだまだ頑張りそうだねと…そういう風に受け取っていただいたのではないのかなと思っています
夫婦2人で写真撮影に応じた際には…
ーー少しお顔を近づけていただいても良いですか?

と取材陣からの注文にも満面の笑顔で応じていた。
きっかけは小学校の先生が薦めてくれた一冊の本
1948年大阪・吹田市で生まれた吉野彰さん。

高校時代の同級生は…
同級生・西村立雄さん:
(当時は)静かでしたけど、もちろん笑顔は素敵でしたし、やっぱり小学校の時には化学に興味があったと…
“吉野少年”が化学に興味を持つきっかけになったのが、小学校4年生の時に先生が薦めてくれた一冊の本だった。
吉野彰さん:
マイケル・ファラデーの書いた「ロウソクの科学」を読みなさいよと…

19世紀のイギリスの科学者・ファラデーが書いた「ロウソクの科学」。なぜロウソクは燃えるのかなど化学の原点が書かれた本を吉野少年は読みふけったと言う。

そんな吉野少年の愛読書にもノーベルフィーバーが…
名古屋の書店を訪れてみると、さっそく特設コーナーが設けられていた。

同じ「ロウソクの科学」を出版するKADOKAWAも急遽3万部の増刷を決定。対策チームを作り、対応にあたっていた。

化学の本質に迫ろうと“ロウソクの炎”を見ていた少年がつかんだノーベル化学賞。吉野さんは会見でたどり着いた“研究”の本質を“マラソン”に例えた。
吉野彰さん:
マラソンでも研究開発でも明確なゴールが自分で確信できれば、最初は苦しい時はあるんですけどね、その時期を乗り越えたら逆に研究はこんなに楽しいものかなと…

吉野彰さん:
早く壁が次から次に来てくれた方が早くゴールにたどり着けるんだなと…
吉野彰さんが指摘する日本の大学研究への懸念
Live New it!のスタジオでは、吉野さんが指摘した日本の研究の未来への問題点について、コメンテーターの柳澤秀夫さんと話し合った。
加藤綾子キャスター:
受賞の喜びを語る一方で、吉野さんはこんな懸念についても語っています。大学での研究は「目標を実現するための役に立つ研究」と「好奇心に基づく基礎研究」の両輪が重要とした上で、日本はその中間をウロウロしている状態だと苦言を呈したんですね。こうした点についていかがですか?

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
ノーベル賞の科学分野で日本人が受賞すると、毎回のように「基礎研究が日本は弱くなっている」と指摘されるんですよ。確かに考えてみると成果主義で、すぐ結果を生まなければいけないという風潮になっている中で、将来何に役にたつかわからないというイメージで基礎研究をとらえると予算もつかないという時代になってきていると思うんです。そこをもういっぺんこのタイミングをとらえて我々考えていく機会になればという気がします
加藤綾子キャスター:
積み重ねが大きな成果につながっていくことも?
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
最初わからないですからね。でも、それが何かの役に立つかもしれないという

風間 晋フジテレビ解説委員:
吉野さんが企業に所属する研究者であるということが、面白いなと思っています。やはり企業だと研究者も経営者も、基礎研究をどうやって製品につなげていくかというのを、すごく意識しなければいけないし、スピード感も必要だしという、そういう意識が強いというのが、もしかしたら企業における基礎研究の強みなのかもしれない。しかも今、企業は潤沢な内部留保とかお金持っているじゃないですか、これを活用してほしいなと…
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
一方でリスクを伴うとすると、経営者の判断というのも鍵になっているのかなと…
加藤綾子キャスター:
そうですね。(研究をあきらめずに)続けるという判断ですよね
(Live News it! 10月10日放送より)