夏の参議院選挙を前に、にわかに盛り上がりを見せている「消費税減税」についての議論。

「減税」を実施する場合の「財源」を巡って、関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、政治の世界を深く知る橋下徹氏と政治ジャーナリストの青山和弘氏の2人が激論を交わしました。

■財源は…「減税で一致」の野党間でも異なる意見

そもそも消費税はどういう使い道なのかというのもここで見ておきましょう。総務省によると、2024年度の予算で消費税は23.8兆円計上されました。

このうちの81パーセント・19.2兆円が年金、介護、医療、子ども・子育て支援に回っています。

もし、食料品の消費税をゼロパーセントにすると、「1年間でおよそ5兆円の税収が減ってしまう。ここに回されていた5兆円がなくなってしまうのではないか」という不安を持つ方もいらっしゃると思います。

また財源に関しては、野党、そして与党で減税に言及している公明で、意見が異なっています。

立憲:赤字国債×、地方財政・未来世代への負担× その上での財源確保
維新:税収増加分で財源を確保できる
国民:赤字国債を堂々と発行してやればいい
公明:減税の場合、新たな財源を見つける必要がある

■政治ジャーナリスト青山氏「『選挙目当て』でなはない中長期的ビジョンを」

まず「石破政権まで16の政権を取材」している政治ジャーナリストの青山和弘氏に消費税を財源としていた施策への影響や、減税の財源論について聞きました。

【政治ジャーナリスト 青山和弘氏】「国債を発行すればいいじゃないかっていう考えには、あまり賛成できません。

一方で消費税の使い道がこのように示されてますけど、お金に色はついてないんで、これここに消費税を使っているんだったら、法人税は別なところに使ってるって話になりますんで、消費税が減ったら、一気に年金とか介護にしわ寄せが一気にいくというわけでもないんです。

この消費税の税率が10パーセントで、軽減税率は8パーセントという、ほとんど差のない国は世界中どこ見てもないんですよ。たった2パーセントしか違わないでしょ。

軽減税率を持っているんだったら、もっと食料品は下げてもいいし、あと新聞が軽減税率に入る必要があるのか」

例えばフランスで消費税に当たる「付加価値税」は税率が20パーセントですが、食料品などに適用される軽減税率は5.5パーセントとなっています。

こうした現状を踏まえて青山氏は、政治が中長期的なビジョンに基づいて、税の仕組みなどを整えていくべきだと言及しました。

【政治ジャーナリスト 青山和弘氏】「やはりいろんなまだ問題点というか見直していい点っていっぱいあるので、こういうのを機会に、やはり消費税は日本はどういうあり方がいいのか、そして年金や医療も、このままだったら、消費税がどうであろうと将来的に非常に苦しくなるのは間違いないんで、これの抜本的な改革に手をつけるべきときじゃないか。

各党が『選挙目当て』みたいな、近視眼的な政治にどんどん今、SNSの時代でなっているんですよ。それを脱却して中長期的なビジョンを持つっていうきっかけにしてもらいたいぐらいに思いますね」

■『足りないってなったら、これ生み出せ、財源確保しろ』って大号令かけた 橋下氏

一方、橋下徹氏は財源について、大阪府知事を務めていた時の経験から、「必要な金額を打ち出してから、財源を”生み出していく”」と持論を述べました。

【橋下徹氏】「これは大阪がやったことですよ。今大阪万博だとかカジノも含めてですね、いろんなことでお金を使ってってますけれども、『これだけやるぞ』と。

足りないってことになったら、『これ生み出せ、これを財源確保しろ』って大号令かけたのが、僕が2008年大阪府知事についたときの行財政改革、維新という政治グループの名前とは全然別なんですけども、僕が当初、『大阪維新プログラム』っていうのを立てたのはですね、『1100億円が年間でお金が必要なんだ』ということを大号令かけて。

2008年のときも、皆さん覚えてらっしゃらないかもわからないけど、もういろんなところから批判来て、やれ図書館をつぶしていく、何とか会館を潰していく、大学も1つにするんだ、もう至るところで、それは文楽協会の補助金も含めて、オーケストラへの補助金もみんなから批判ありましたけども、でもそれでお金を生み出した。

だから、今大阪はどうなったかというと、財政も立ち直り税収も増えて、結局万博とかカジノ誘致にもなったわけです。だから最初に『やるぞ』と。あと『お金を生み出すんだ』と。順番がこっちなのに…」

【青木源太キャスター】「ということは橋下さんは赤字国債(国の歳入が不足しているときに発行し、資金を調達して補うもの。民間の借金にも相当)を発行しなくてもいいというお考えなんですね?」

【橋下徹氏】「財政運営として国がやる分にはね、借金っていうものにあんまりこだわる必要ないと思いますよ。例えば大企業なんかだったらどうですか。トヨタなんかでも20兆円以上の借金あるしね、ソフトバンクだって20兆円以上の借金がある。僕が20兆円借金するってのは、絶対ダメですけど、トヨタとかソフトバンクだったら大丈夫。

それはちゃんと収入とか信用力とか、そういうことを見て財政マネジメントをするんですよ。ところが昭和の政治の人たちは、収入と支出を帳尻合わすだけ。家計簿なんですよ。

家計簿の政治から、きちんと財務マネジメントをやるっていう令和のステージに持っていく今チャンスだと思うんですよね」

■財源に赤字国債も…「どこまで借金を負わすことができるのか」マネジメントを

【青木源太キャスター】「それ将来にツケを回すということになってないかどうかというのはどこを見ればわかるんですかね?」

【橋下徹氏】「これね、専門的な話になるんですけど、通貨発行益と言って、国は中央銀行持ってますから、お札を刷れるんですよ。アメリカは何であれだけの経済が発展してるかというと、ドルをどんどんどんどん刷れるんですよ。これ基軸通貨と言って、国際的な標準通貨になってるんで。

日本の国の円も相当信用力があるので、刷れるんですよ。ただ、無限に刷れるわけじゃないから、『どこまで刷れるんだ?』っていう議論やらなきゃいけないんだけれども、昭和の政治家たちは税収と支出とここ均衡を合わせようってことばっかりなんですよ。

どこまで借金を負わすことができるのか、後からお金をどこまで持ってくることができるのかっていうのが、本来の財務マネジメントです。民間企業だったらみんなそうやってますんでね」

■青山氏「災害などに備えて一定程度の支出と収入のバランスはとるべき」

ここで青山氏が、「災害などに備えて一定程度の支出と収入のバランスはとるべき」と指摘しました。

【政治ジャーナリスト 青山和弘氏】「均衡させる必要は全くないと思うし、やっぱり『いざ』っていうときは、借金すべきときってあると思うんですよ。災害も起こるかもしれないし、不測の事態が起こるかもしれない。

そのときこそ大きな借金をしなきゃいけないので、普段は一定程度、支出と収入の部分バランスってのは見ていかなきゃいけない。

そんな中で今、例えば薬がね、どれだけ皆さんの家に余っているのか。どれだけ資産とか、配当を持っている人がタダ同然でお医者さんに診てもらっているのか、そういった無駄をこれから見直していくっていうチャンスに今こそするべきだと思う」

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年4月29日放送)

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