労働組合の中央組織「連合」は26日、東京の代々木公園でメーデー中央大会を開催し、芳野友子会長はあいさつの中で、こっちのけんとさんの大ヒット曲「はいよろこんで」の歌詞を引き合いに、助けが必要になるような不安定な社会の中で、希望を持ち団結する必要性を訴えた。
芳野氏は戦後80年の節目の年のメーデーについて「今日ほど平和なくして労働運動なし、民主主義なくして労働運動なしということを実感できる日はない。80年前に多くの方々が尊い命を失い、その犠牲、戦後の復興を支えてくれた数えきれない方々の努力を礎に今日がある。先人への敬意と感謝を表し、今を生きる私たちが未来に向かって平和を求め続ける決意を新たにするメーデーとしたい」と述べた。
その上で賃上げや給与格差の是正について言及し「給料は自らの労働の価値を表す鏡としての一面もあり、給料を上げるということは働く者の価値や尊厳へ敬意を払うという意味もある。私たちはその価値を貶めたり平和を脅かしたりするような不条理とはいつも戦ってきた。それはこれからも変わらない」と強調した。
そして、歌手こっちのけんとさんのヒット曲「はいよろこんで」の歌詞を引き合いに、「昨年大ヒットした歌の歌詞にトントントン・ツーツーツー・トントントンというモールス信号のSOSが用いられた。実はメーデーという発音も音声の遭難信号として用いられている」と語った。
芳野会長はその上で「折しも米国のいわゆるトランプ関税による世界経済の混乱、収束の見通しが立たないウクライナ、パレスチナ、ミャンマーでの平和と人権の侵害、たび重なる自然災害など私たちを取り巻く環境は厳しく、不安は募りがちだ」と指摘し、「不条理が重なり思わずメーデー・メーデー・メーデーと訴えたくもなる。しかし混沌とした世界を突き進むには、希望という光を常に灯し、勇気というオールを手に一致団結するしかない」と呼びかけた。