俳優の大東駿介さんが、関西の街を歩きながら魅力を学んでいくこのコーナーですが、今回は「てくてく学」ならぬ「ぱくぱく学」です。

神戸の人気観光スポット「南京町」は、100店舗以上がひしめく、おいしいグルメの宝庫で、年間約600万人が訪れる関西最大のチャイナタウンです。

■“豚まん発祥の店”「老祥記」ハプニングがきっかけで超人気店に

大正4年創業で、連日、長蛇の列ができる「老祥記(ろうしょうき)」は、日本の豚まん発祥の店とされています。

大正4年、中国出身の曹松き(そうしょうき)が来日し、神戸の南京町で日本初の豚まん専門店を開業しました。

3代目の曹英生(そうえいせい)さんが、「中国では包子(パオツー)というんですけど、日本の方が分からないので、おばあちゃんが分かりやすいように『豚饅頭(ぶたまんじゅう)』という名前を付けた」と、“豚まん”が生まれたきっかけを教えてくれました。

1日約1万3000個を売り上げているという、老祥記自慢の「豚饅頭」。おいしさの秘密は、初代が上海から持ってきた麹(こうじ)の種で皮を発酵させていて、生地に日本酒のような甘みともちもちした歯ごたえがあるのだと、曹英生さんは言います。

また、1970年代に店の入り口の取っ手に穴があき、「豚まん食べたさに穴空いた」という新聞記事が載ったことで、行列の絶えない超人気店になったのだそうです。ハプニングがお客さんを引き付けるきっかけになりました。

■「元祖ぎょうざ苑」神戸グルメ「味噌だれ餃子」誕生秘話

昭和26年創業の「元祖ぎょうざ苑」は、平日でもお昼どきは行列。

多くのお客さんをとりこにしている「焼き餃子」。中のあんには贅沢にも神戸牛が入っていて、ピーナッツ油を使い、パリパリに焼き上げています。皮の香ばしい風味がたまりません。

3代目の頃末灯留さんによると、「元祖ぎょうざ苑」は「味噌だれ」餃子発祥の店で、初代の芳夫さんが考案しました。「味噌だれ」は独自の調味料をブレンドした自家製で、レシピは代々受け継がれ、店主しか知らないのだそうです。

初代は岡山県出身で、満州に移り住んだ時に現地のタレが口に合わず、味噌好きだったことから、味噌を使った食べ方を広めました。満州の日本人にとってふるさとを思い出す味で、たちまち評判になりました。

終戦後、「元祖ぎょうざ苑」を創業。満州で人気だった味噌だれ餃子を提供し、今では神戸のご当地グルメとなっています。

■「うなぎ横丁」震災を乗り越えた奇跡の味

南京町の路地裏にひっそりと店を構える、昭和22年創業の老舗「うなぎ横丁」。

焼き方は「蒸し」の工程を入れる関東風。一度蒸してから焼くことで、余分な脂を落としています。

一番人気の看板メニュー「うな重」。まろやかなタレは、創業から継ぎ足されてきた秘伝の味で、78年分のうなぎのエキスが凝縮されています。現在は3代目の細見佳宏さんが、創業から変わらぬ味を守っています。

しかし阪神・淡路大震災で店は半壊し、長い歴史の中で最大のピンチを迎えました。

2代目の細見進一さんは震災当時を思い出し、「うなぎのタレの壺が、奇跡的に残っていた」と話します。長い歴史がなければ出せない味、タレが残っていたから店を続けることができたのです。

【細見進一さん】「(うなぎ屋にとってタレは)命やからな。それを守ってきたんが今につながっている」。

「うな重」のあとに、「うざく」や「う巻き」も出してくれようとする2代目に、「もう食べられないですよ…ありがとうございます」とさすがの大東さんギブアップしました。

▼大東さんの“発見”の全ては、動画でじっくりお楽しみください。
https://youtu.be/QF-AgPW-9nU

(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」 2025年4月17日木曜日放送)

関西テレビ
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