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「ひかれ損?」ひき逃げ被害者の悲痛な思い 容疑者特定も逮捕されず 保険会社勤務の男が無保険車で…初公判で驚きの事実が判明|FNNプライムオンライン
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「ひかれ損?」ひき逃げ被害者の悲痛な思い 容疑者特定も逮捕されず 保険会社勤務の男が無保険車で…初公判で驚きの事実が判明

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福岡市で2023年9月、バイクで帰宅中の男性が無車検・無保険の車にひき逃げされ、男性は一時命の危機にもさらされた。犯人は特定されたものの逮捕はされず、捜査は在宅のまま進められた。
そして初公判で明かされたのは、男が保険会社に勤め、車両保険を販売していたことなど、驚きの事実だった。

ひき逃げされ…後遺症に苦しむ日々

杖(つえ)をつき、足を引きずりながら事故現場に現れた男性。福岡市に住む蓑津尚文さんは、「正直、これから補償の話が始まるのかと思っていたんですけど、裁判で補償能力がないような話を自分でしていたので、じゃあ僕は“ひかれ損”なのかと」と語った。

事故当時について語る蓑津さん
事故当時について語る蓑津さん
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蓑津さんがひき逃げの被害に遭ったのは、2023年9月のことだった。バイクで帰宅中、福岡市内の交差点を直進しようとした際、右折してきた車にはねられ5メートルほど投げ出されたという。蓑津さんは「『あっ』と思った瞬間に次は吹き飛ばされて…」と語る。

苦しむ蓑津さんの耳に飛び込んできた声は、「『逃げた、逃げた』って聞こえたんですよ」という信じられないものだった。救急搬送された蓑津さんは、全身打撲と右足骨折で緊急手術を受けた。さらにその後、肺血栓が見つかり一時は命の危機にもさらされた。

苦しい日々を記した蓑津さんのSNS
苦しい日々を記した蓑津さんのSNS

入院から1カ月半。病状は落ち着いたものの右足の指が動かなくなり、苦痛に耐えるリハビリの日々が始まった。蓑津さんは「1カ月ぶりに娘に会いました。誕生日も祝えず、運動会にも行けず、申し訳なかったと謝りました。娘が『介護は私がやるからね』と言ってくれて、涙をこらえるのに必死でした」と、苦しい日々をSNSに書き記していた。

犯人特定も逮捕されず「怒りしかない」

事故から2カ月たっても犯人は特定されていなかった。

犯罪白書によると、2022年のひき逃げ事件の検挙率は、死亡事故の場合100%なのだが、重傷事故で79.4%。軽傷なども含む全検挙率は約69.3%にとどまっている。蓑津さんのような死亡に至らないひき逃げ事故の場合、犯人が検挙されないというケースも少なくない。

そして2024年1月、ようやく犯人が特定された。しかしながら逮捕はされておらず、在宅のまま捜査は進められた。「ひき逃げ事故にもかかわらず、逮捕もされず、年末年始をぬくぬくと犯人が過ごしていたかと思うと怒りしかない」と、蓑津さんは正直な気持ちをSNSに記している。

犯人が逮捕されない理由について推測する埋田昇平弁護士
犯人が逮捕されない理由について推測する埋田昇平弁護士

なぜ逮捕されないのか?蓑津さんを担当する埋田昇平弁護士は、「警察が犯人にたどり着いた時点では、事故の証拠自体はすでに警察にあると。被疑者が証拠を隠滅する恐れがなくなっている。定職についていて家族と一緒に生活しているとなると、一般的には逃亡の恐れなしと判断されてしまうので逮捕されなかったのでは」と話す。

犯人は、逮捕はされなかったものの3月に書類送検され、在宅起訴されることになった。

起訴内容を認めた男 驚きの事実も

そして事故から9カ月がたった2024年7月16日、ようやく初公判の日を迎えた。

傍聴に訪れた蓑津さんは「ほぼ1年なので、やっとという感じ…。これで補償とか話が進めばいいですけど」と期待を口にした。

道路交通法違反など4つの罪に問われたのは、福岡市に住む50代の男だ。起訴状によると男は事故当時、無車検、無保険の普通乗用車を運転。事故を起こした後、救護も警察への報告もしなかったという。男は起訴内容を認めた。

冒頭陳述で判明した驚きの事実
冒頭陳述で判明した驚きの事実

冒頭陳述で検察は、男が保険会社に勤め、車両保険を販売していたことや事故後、車を修理して乗り続けていたこと、事故の直前に飲酒していたことなど、驚きの事実を次々に指摘した。

今後の補償について話す男
今後の補償について話す男

また、事故を起こしたときにその場を立ち去った理由については、パニック状態だったという。男は、現在は保険会社を辞めアルバイトをしていて、今後の補償については「治療費、慰謝料を支払っていくつもり」と話した。検察は、男に懲役1年4カ月を求刑した。

初公判の傍聴を終えた蓑津さんは、困惑の表情で「保険会社の社員で、自分で保険を売っておきながら自分が保険に入っていないとか…。ちょっと…、どういうことなんだろう。判決を聞かないと分からないですけど、じゃあ実刑で本当に収監されて補償はどうなるんだ…、とか。いま頭のなか、どうしていこうかでいっぱいですね」と、厳しい処罰を望みながらも補償への不安を打ち明けた。

続くリハビリ 補償はどうなる

まもなく事故から10カ月。蓑津さんに近況を尋ねると、「まだ杖をついている状況で、あとはリハビリを受けつつ痛み止めを飲んでるという感じ。まだ病院にも通ってます」と語った。

加害者が自賠責未加入の場合、被害者が受けた損害を国が立て替える制度がある。ただし自賠責と同じ、あくまでも「最低限」の補償にとどまり、さらに審査期間が長いため給付までに半年~1年かかることもあるという。今回、蓑津さんは会社から帰る際の事故だったため、労災で補償されているが、そうでなければかなり長い期間を自費で治療して乗り越えなければならなかった。

そして7月23日。男に司法が下した判断は、懲役1年4カ月、執行猶予3年の判決だった。

(テレビ西日本)

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