家族の承諾による臓器提供は増加したものの…

臓器移植法が施行されてから22年…

脳死の場合は、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球が、心停止の場合は、腎臓・膵臓・眼球の移植が可能となっている。

2010年の法改正で、臓器の提供は本人の承諾がなくても家族の承諾があればできるようになり、改正前は年間10件程度だった臓器提供が年間70件程度まで増加してきた。その増加分の大部分が家族の承諾によるものとなっている。

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脳死した人からの心臓移植に限っても先日500例を超え、多くの命が救われている。

数年前に心臓移植を受けたという男性に取材することが出来た。そこから日本の臓器移植の課題を考えてみる。

10代で心臓移植を受けた男性は今…

10代の頃、肥大型心筋症という重い心臓の病気と診断された小林功武さん(20代・神奈川在住)。数年前に受けた心臓移植手術で、今は日常生活を問題なく送れるまで回復した。

現在はどんな生活を送っているのだろうか?

小林功武さん
休みの日は車でドライブです。江の島とか。体調は絶好調です

――
今は薬は飲んでいますか?

小林功武さん
飲んでいます。免疫抑制剤を

しかし、手術直後は…

小林功武さん
ICUに移植までに7カ月いたんですね、5カ月間は薬で眠らされていたので足の筋力が落ちてて、リハビリに5カ月くらいかかって…

こうした境遇から将来の目標が定まったと小林さんは言う…

小林功武さん
今は看護師になりたいです。ドナーさんの心臓をもらって看護師になれましたってことを、次は患者さんに伝えたいからです。移植を受けられていなかったら死んでいたと思うので、移植を受けられて嬉しいです

臓器移植を受けられるのは希望者の2%

日本臓器移植ネットワークによると心臓移植した人の5年生存率は91.9%、10年生存率は89.8%。(2018年時点)

臓器移植についての理解は、この22年でどこまで進んだのだろうか?

内閣府の調査によると、56.4%の人が臓器移植に「関心がある」と答えているものの、実際に意思表示カードなどに臓器提供の意思を記入しているのは12.7%にとどまる。(平成29年度)

また臓器移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録している人は、現在約1万4000人にのぼるのに対し、移植手術を受けられるのはわずか2%ほどの300~400人にとどまっているのが現状だ。

日本のドナー数は桁違いに少ないまま…

そもそも人口100万人あたりのドナー数は日本では0.88人。移植先進国のスペインの約48人、アメリカの約33人、イギリスの約23人などと比べると桁違いに低いのが実状だ。

その要因としては、 臓器提供に対する抵抗感が残る事も挙げられるが、提供したいという意思があっても、それが生かされないケースがまだまだあると指摘されている。

体制のさらなる整備が求められている。

(Live News days 11月26日放送分より)