65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は3年に1度見直されるが、2024年度にその見直しが行われた。

厚生労働省によると、2024年4月から岩手県の平均は月額6093円となり、これまでより60円、率にして1%高くなった。
全国平均は6225円で、岩手県はそれを132円下回っていることになる。

この介護保険料は自治体ごとに額が違い、県内の各市町村の額を見ると、県庁所在地の盛岡市は6267円で全国平均を上回った。
金額が最も安いのは金ケ崎町の4900円で、前回より4.0%ほど下がっている。

一方、最も高いのは西和賀町で前回と変わらず8100円、次いで田野畑村が7000円、岩泉町が6900円となっている。

県内の市町村を比べてみても、西和賀町の月額8100円というのは高いという印象がある。

全国の上位の自治体をまとめたが、実は西和賀町は大阪府の大阪市、守口市、門真市に次いで全国4番目の高さとなっている。

ではこの介護保険料はどのようにして決まっているのか、専門家である東洋大学の高野龍昭教授に聞いた。

Q:介護保険の制度について
東洋大学介護福祉学 高野龍昭教授
「市町村で例えば次年度使われるであろう介護保険の給付費用、介護サービスにかかるお金、その予算のうち23%をその市町村に住む65歳以上の人で応分に負担してもらう。その市町村が高齢者の人口と比べたときに、多くの介護サービスが使われている地域なら基本的には保険料が高くなる。高齢者の人口と比べて介護サービスがあまり使われていない自治体は、介護保険料が安くなる。シンプルに言うとこういうからくりになっている」

高齢者の人口や、その地域でどれだけ介護サービスが使われているかによって決まってくることになる。

そして高野教授は「介護保険料が高い地域の方が介護サービスが充実している」場合もあるとしている。

県内で最も高い西和賀町は最も安い金ケ崎町の約1.7倍となっているが、この2つの町については次のように分析していた。

東洋大学介護福祉学 高野龍昭教授
「特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などのベッド数を西和賀町と金ケ崎町で比較した。西和賀町は高齢者人口1000人当たり74人分入所できるベッド数が確保されている。一方、金ケ崎町は高齢者人口1000人当たり49人分入所できるベッド数が確保されている(2023年4月時点:県の資料より)。西和賀町は介護保険料は高いけれど、その分高齢者が入所できる施設がたくさん整備されている。こういう違いがデータ上見て取れる」

実際にベッドの数も、西和賀町は金ケ崎町の1.5倍多くなっている。

西和賀町では岩手めんこいテレビの取材に対し「介護を必要とする人は多い一方、65歳以上の人口が減っていて負担がかかっている。町としては制度を維持するため、健康寿命を延ばす取り組みや介護人材を養成するための取り組みを進めている」と話している。

全国4番目となっていることについて町民にも話を聞いてみると、立場によっても受け止め方は様々だ。

西和賀町民(36)
「すごく高いなと実感した。受けられるサービスが充実、手厚いところもあり、頑張って支払いたい」

西和賀町民(90)
「介護デイサービスでお世話になって、親切で良いものだなとは感じている。高い・安いというのはあまり感じていない」

西和賀町民(67)
「今取られているお金で生きているのかなということは感じるが、実際65歳になった時は、高いなと思ったのが正直なところ。介護保険料が高いのは、年金暮らしの人たちにはものすごく痛手」

この65歳以上の介護保険料は2040年度には全国平均で約9000円に達するとも推計されていて、この制度自体について高野教授は次のように指摘している。

東洋大学介護福祉学 高野龍昭教授
「介護保険制度は始まって今年で25年目。高齢者がまだ増える実態にあるから、そろそろ見直し改革していく必要がある。そうしないと市民の保険料負担はどんどん上がっていくことが目に見えている。一方で我々はどう考えたらいいかというと(介護サービスを)使わないに越したことがないわけだから、自分のためにも地域の市民の保険料負担を高めない意味でも、健康寿命を延ばすような取り組みを地域を挙げてやっていくのが大事ではないか」

制度の見直しも必要だが、やはり負担を減らすためには一人一人が健康意識を持つことも重要だ。

高野教授は「自分のまちの介護サービスの在り方について関心を持つことも重要」と話していた。

岩手めんこいテレビ
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