“カスハラ”被害が相次ぐ中、都内の老舗天ぷら店では「土下座しろ!」という客の怒鳴り声が響きわたった。そして、牛丼チェーン・吉野家でも、店員にスマホを向けながら怒鳴る客の姿があった。

いったい何があったのだろうか。独自取材をした。

「土下座しろ!」天ぷら店で10分間も怒鳴り続ける客

天ぷら店の店長に詰め寄る“ある男性客”は突然、レジで怒鳴り声を上げ始めた。

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男性​客:
誰なんだよ。おーーーい。責任者の問題だろ、お前。土下座しろ!この野郎!!おい!

客の怒号が鳴り響いたのは、2024年4月、東京・世田谷区にある老舗天ぷら店「銀座天一(ぎんざてんいち)」の店内だ。

トラブルの発端は、店が男性客の会計を間違えたことだという。

男性​客:
2万円と1万円じゃ全然違うだろ。この野郎。

店長:
申し訳ございません。

男性​客:
土下座しろ。この野郎。

男性客の正しい代金は1万円だったが、店側は男性客に誤って2万円を請求したという。
これに対し、男性客は激怒し、「土下座をしろ」とすごんできたのだ。

男性​客:
できねーのか!できねーのかよ!

店長:
土下座は申し訳ございません。できません。

男性​客:
じゃ、謝罪しろよ、ちゃんと。

しつこく謝罪を求める男性客に、店側は謝罪を続けるが…

女性店員:
すいません…。

男性​客:
ええ!!!

女性店員:
申し訳ございませんでした。

店長:
私の方から会計も含めてサービスをちゃんと…。

男性​客:
誰が責任持つんだよ、これ!

店側は何度も謝罪するが、男性客の怒りが収まることはなかった。

男性​客:
おい!!こんな不愉快な思いをさせてよ。

女性店員:
申し訳ございません…。

男性​客:
謝罪しろよ、お前。ふざけんなよ。

女性店員:
申し訳ございません…。

男性​客:
ふざけてるのもいいところだろ、お前。食事してさ、気持ちよく酔っぱらって帰ろうと思ったら会計が2万円だよ、おい、いいかげんにしろよ。てめぇ この野郎!

店長:
申し訳ございません。

酒に酔っていると話す男性客は、土下座の次に“謝罪文”を求めてきた。

男性​客:
お前 店長なんだろ。謝罪しろよ。

店長:
失礼しました。
 

男性​客:
それだけじゃないだろ!

店長:
何をしたらお客様は…。

男性​客:
文章でちゃんとくれ 書面で「申し訳ございません」と書いてくれ!書面で。

男性客の怒号に、隣にいた客は驚きを隠せなかった。

この騒ぎを聞きつけて、隣の店の人が心配そうに声をかけてきた。

別の店の人:
大丈夫ですか?うち違う店だけど、大きな声が聞こえたので。

男性​客:
いや、すごい失礼なことをしているから。

別の店の人:
あーそうですか。

男性​客:
こんな不愉快な思い初めて。

別の店の人:
あーそうですか。

男性​客:
1万円しか食べてないのに、2万円取られるところだった。それで怒っている。

別の店の人:
あーそうなんだ。

約10分間にわたり、店長らを怒鳴り続けた男性客は、そのあと警備員に連れられ、店の外へと出ていったという。

撮影者は「すごく怖い。昼間から酔っ払っていて迷惑。レジ(で会計)でもなかったらイラッとしています。周りの方に迷惑かけているのでやめてほしい」という。

男性客のこうした行為は、客が理不尽な要求をする「カスハラ」=「カスタマーハラスメント」にあたるのだろうか。

カスハラにくわしい亀井正貴弁護士に話を聞くと、「典型的なカスハラにあたると思います。土下座の要求そのものが、これだけでハラスメントにあたる。脅迫や名誉毀損、侮辱罪であったり、本件の場合はそこまで至っていない。一歩手前」と話す。

牛丼店でも“カスハラ”頭を下げる店員をスマホで撮影

一方、“カスハラ”は先週、東京・新宿区にある「吉野家」の店舗でも起きていた。

男性客:
店長呼べよ!あんた店長だって、さっき自分で言ったよな、ウソついてるの?

頭を下げる店員の姿をスマホで撮影する男性客。
トラブルのきっかけは、店がカレーライス2人前を男性客のテーブルに運んだことだった。

男性客は、カレーライス1人前を注文したと主張し、店側が間違っているとして「店長を出せ」と要求したという。

しかし“店長代理”が対応したことが、男性客の怒りに火をつけたというのだ。

男性客:
ウソついて言ったんだね。店長だってね。 あんた自分が店長だと言ったよ。代行ではなく店長だって言ったんだよ。なんで、おたくはウソつくの?正義感出すなよ。

この動画を撮影した人は「(男性客が)『俺(カレーライスを)1個しか注文してないけど』と言って(店員に)『2個出ています』とレシートを渡された。たぶん、タッチパネルで男性客が間違えて注文した。間違ったら普通にこれ犯罪だと思った」と話す。

吉野家は“カスハラ”について、個別事案の詳細は控えるとしつつ、「警察に通報や相談する場合があります」としている。
(「イット!」6月10日放送より)

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