児童手当の拡充など岸田政権の少子化対策を盛り込み、財源の1つとして公的医療保険に上乗せして徴収する「子ども子育て支援金」を創設する改正子ども子育て支援法が、5日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立した。野党は支援金について「増税だ」などと批判し、採決で反対した。

「子ども・子育て支援金」は2026年度から徴収が始まり、制度が確立する28年度の支援金の負担額は、加入者1人あたり平均で月450円、サラリーマンなどの加入する被用者保険では、被保険者1人あたり平均で月800円と試算されている。

支援金制度について岸田首相は「制度の創設により、児童手当をはじめとした子育て支援の給付を大幅に拡充することができる。歳出改革により社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築し、新たな負担は求めない」などと説明してきた。

一方、採決に先立っての討論で立憲民主党の鬼木議員は「この制度が増税批判を避けるために取りやすいところから取る制度に他ならないことや、実質的な負担が生じないという説明はまやかしであることが明らかになった。実質的に負担が生じないと喧伝するのは極めて不適切だ」と批判した。

法律に盛り込まれた児童手当の拡充では、現在0歳から中学生までの支給対象を、高校生年代まで延長し、第3子以降は3万円に倍増、所得制限も撤廃される。2024年10月の支給分から適用予定。低所得のひとり親世帯向けの児童扶養手当も、子どもが3人以上いる多子世帯の加算を増やす。この制度により、子どもが生まれてから高校生までの給付額は、1人平均146万円増える見込み。

また、「共働き・共育て」を推進するため、育休給付を25年4月から両親が共に14日以上の育休を取った場合、最大28日間、実質10割に引き上げる。

時短勤務の新たな給付として、2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をしている人に、賃金に上乗せして賃金の1割相当の給付金を支給する。

親が働いているかどうかに関わらず、子どもを保育所などに月一定時間預けられる「こども誰でも通園制度」を創設し、26年度から全国の自治体で実施する。

これらの政策を実施する財源として、歳出削減での捻出などに加え、公的医療保険に上乗せする「子ども・子育て支援金」を創設する。制度は26年度から始まり、徴収総額を初年度は6000億円、制度が確立する28年度には1兆円へ順次引き上げる。支援金の負担額は、加入者1人あたりの平均で28年度に450円と試算された。

被用者保険での、家族分も含めた被保険者1人あたりの平均負担額は、中小企業の「協会けんぽ」で700円、大企業の「健保組合」は850円、公務員らの「共済組合」は950円。いずれも所得によって増減し、年収600万円超で月1000円以上となると試算された。

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