『公害の原点』とされる水俣病の公式確認から68年。水俣市で1日、犠牲者慰霊式が営まれました。4月の就任後、初めて慰霊式に参列した木村知事は「水俣病の教訓を心に刻み、県民のために力の限りを尽くす」と述べました。

【黙とう】

日本の公害の原点とされ、68年前の5月1日に公式確認された水俣病。水俣の海を望む慰霊碑の前では、水俣市や患者団体などでつくる実行委員会主催の犠牲者慰霊式が営まれました。

式には、遺族をはじめ、国や熊本県、原因企業チッソの関係者などおよそ670人が参列し、献花台に花を手向け犠牲者を悼みました。

【患者・遺族代表 川畑 俊夫さん】
「私の母も若いころから『頭が割れるように痛い』といつも言っていました」
「めがいがひどく、ふらつき、手足のしびれや、むくみ、からすまがりに苦しんでいました」

患者・遺族を代表して水俣市の川畑 俊夫さんが祈りの言葉を捧げました。

2000年に他界した母・文子さんは認定患者です。

【患者・遺族代表 川畑 俊夫さん】
「現在も救済されず苦しんでいる方が多くおられます。患者の現状に真摯に向き合い全面解決をいただくことを切に願います」

一方、伊藤 信太郎 環境大臣は…。

【伊藤 信太郎 環境相】
「水俣病の拡大を防げなかったことを改めて衷心よりおわび申し上げます」

そう陳謝した上で、「環境行政の原点である水俣の地に立ち、環境大臣としての役割の重さを実感する」と述べました。

また、木村知事は就任後、初めて慰霊式に参列しました。

【木村知事】
「知事として水俣病の拡大を防げなかったことへの反省に基づく県民の命と健康を守る責任の重さを強く心に刻み、県民の皆さまのために力の限りを尽くしていくことをここにお誓い申し上げます」

原因企業チッソの木庭 竜一 社長は慰霊式後、報道陣の取材に対し次のように述べました。

【チッソ 木庭 竜一 社長】
「私どもとしては今の患者の補償を完遂するというのを至上命題に掲げているので、それをまずはやる。そのためには資金が必要になってくるので、確実に利益を上げていくことに集中したい」

テレビ熊本
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