19日、東京・渋谷区の住宅街で、向かってきた車に警察官が発砲する事案があった。

「イット!」は、容疑者が身柄を確保された瞬間の写真を入手。
現場で何があったのかが明らかになってきた。

取り押さえられる警察官から顔をそむけ、必死に抵抗する様子を見せる男。
この時の様子を目撃者は、「お巡りさんが『傷口見せろ』と。“撃たれた”とか“撃たれてない”とか、救急隊の人が来ても『俺は乗らない』と暴れ出した」と話す。

けがをした状態で取り押さえられたのは、田中陸容疑者(21)。
公務執行妨害の現行犯で逮捕された。

この1時間ほど前、急発進して向かってきた田中容疑者の車に向け、警察官が発砲し、弾丸は、田中容疑者の足に当たった。

近隣住民「『バーン』という音は聞こえた感じがした」

付近の防犯カメラには、田中容疑者のものと思われる車が、窓ガラスが割れた状態で走り去る様子が記録されていた。

いったい、何があったのか。

きっかけとなったトラブルは、午前6時半ごろ、京王新線初台駅近くの路上で起きた。

田中容疑者と同乗していた女性が、路上にいた別の女性らとけんかをしたとみられる。

通報を受け、警察官が自転車で現場に向かったところ、田中容疑者の車に遭遇。
この時、田中容疑者は逃走のためか、車を切り返そうとしたもののうまくいかず、そのまま警察官のほうへと急発進したという。

これに対し、警察官は、助手席側の窓に向かって威嚇射撃。

弾丸は窓を貫通し、車内ではね返るなどして、田中容疑者の左太もも部分に当たったとみられる。

発砲現場付近にいた人「パンとかバンバンって音が、なにか車がぶつかったと思った」

発砲があった場所では、今もガラス片が散乱していた。

現場周辺は住宅が密集しており、ほかにも保育施設などたくさんあるという。

その後、田中容疑者の車は、警察官を振り切り逃走。

周辺の防犯カメラには、窓ガラスが割れた田中容疑者のものとみられる車が通り過ぎる様子が収められていた。

また別の防犯カメラは、現場周辺の音声も記録していた。

「きゃー」という叫び声らしき音が聞こえたあと、車が猛スピードで通過。
その数十秒後には、パトカーが追いかけていった。

けがをした状態で、ガラス片をまき散らしながら逃走を続けた田中容疑者。

警察官に見つかったのは、逃走から1時間後の午前7時半ごろで、最初の現場から1km余り離れた場所だった。

身柄を確保された際の田中容疑者は、酔っぱらっているようにも見えたという。

確保を目撃した人「上半身揺らしていたので、また酔っぱらいが座ってんのかな。でも、車もあるし変だなって」

その後、田中容疑者は一度、代々木警察署に連行されたあと、弾丸の摘出手術のため病院へ。
田中容疑者以外に、けが人はいないという。

今回、警察官が発砲したことについて、警視庁は「拳銃の使用は現段階で適正な職務執行と考える。詳細は調査中」とコメントしている。