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まず、木造住宅の建設工事費の変化を見ていただきます。
2015年を基準にすると、7年後の2022年には1.26倍になっています。
工事費が住宅の価格にそのまま転嫁されるわけではありませんが、それでも、単純に計算すると、4000万円で購入できた住宅が、7年間で5000万円に値上がりしたということになります。
背景には、円安や、戦争、人件費の上昇など、様々な要因があるわけです。

そこで、きょうのテーマは「リノベーション住宅」。

そして、リノベーションとリフォームの違いは…。
リフォームは老朽化したものを新築に近い形に改修することに対して、リノベーションは改修して、本来より、高い性能にすることをいいます。
今、中古の住宅を買取り、リノベーションして販売するビジネスが、注目を集めています。

【VTR】
こちらは、広島市内にある築32年の木造2階建て住宅です。
ここをリノベーションして販売するわけです。
玄関から入ってすぐにキッチンとダイニングがあります。
壁に向かってシンクが据え付けてあって、キッチンに続いて、フローリングのダイニング。
その先には、ふすまで仕切られた、6畳の和室があります。
和室には「押し入れ」に「床の間」と「仏間」が、作り付けになっていました。
お風呂はご覧の通り。
洗面所とバスルーム、洗濯室が1カ所にある一般的な設計です。

2階には、洋間が3部屋とウオークインクローゼットがあります。
収納スペースはありますが、足りなかったのか、大きな箪笥がありました。
問題は「階段」です。
幅が狭く、急勾配の階段になっています。
さて、この住宅が、どのように、変わるのでしょうか?

<スタジオ>
実は、もう1つリノベーション住宅が注目される理由があります。
それは「空き家問題」です。
1998年、全国で576万件だった「空き家」は、20年後の2018年には、およそ1.5倍の849万件に増加しました。

リノベーション住宅は、既存の建物を使うので、コストを抑えることができる。
空き家を使うことで、資源の再利用にもなる。
今後、さらに増える「空き家」を有効活用したビジネスなのです。
それでは、先ほどの住宅は、どうなるのでしょうか?

<VTR>
工事が始まりました。
壁板などを全て剥いでいきます。
柱や土台など、再利用できるものは、極力使いますが、断熱材や壁の中など目に見えない部分も最新のものに取り換えていきます。
この辺りは新築住宅と変わりありません。
階段も工夫しました。
2階は、思い切って、間取りを大きく変えることにしました。

【リノベーション後】
そして、完成したのが、こちらです。
玄関は、白い作り付けの家具と明るい色のフローリングになりました。
そして、1階部分はというと…

【矢野記者】
「変わりましたね」

完成した住宅を設計した紀井さんに案内してもらいました。

「キッチンが前に出て和室だったところがリビングに」

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
「和室をつぶすことによってLDKを広く取りたいということと水周りを広くしてゆったりと暮らしたいということで広く取り直した」

この水周りが、建築当時と今では、大きく違うポイントです。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
「洗面脱衣室兼ユーティリテイーみたいなスペースになります」

従来、このスペースは1坪サイズでしたが、それを1・5坪に広げました。
洗濯物を室内で干せるようになっています。
バスルームも大きく変わりました。
以前のバスルームは、こんな感じでした。
スペースを1坪に拡げ、バスタブも大きなものに取り替えました。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
Q:かなりスペースを取った?
「このスペースを取りたいためにキッチンとリビングを和室の方に出した」

自由自在にできるように思えるリノベーションですが、実は、リノベーションならではの苦労もあるのです。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
「体力壁がこことあそこにあったのでここの柱は抜けないということで」
Q:家が弱くなるから?
「そうです。それが不自然にならないようにテレビスペースにして奥をパソコンなどができるカウンターを作って。ここがちょっと煩雑になっていても一歩奥なので見え辛いかなと思う」

構造上、動かせないものをどう活かすか?ここが、リノベーションの難しさと、建築士の腕の見せ所になるわけなのです。
そして、大きく変化したのは、収納スペースです。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
「もともとここにキッチンがあったものを前に持っていくことでこの辺りもパントリースペースとして作ってみました」

階段を上がって、2階に行きます。
あの狭くて、一直線の急階段も工夫されていました。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
Q:(上がるのが)楽になりました?
「階段をかけ替えたのですが段数を増やして」
Q:段数が増えている?
「段数が増えてます。1段増やしてちょっと緩やかにしました」

2階は部屋の間取りを大きく変えました。

【トータテリフォームセンター・紀井瑠珠1級建築士】
「大きな続き間だったのです。それをあえて真ん中にクローゼットをはさんで2つの部屋に仕切ることで使い勝手を良くした」

この工夫で、収納スペースが、更に広くなりました。
もう、作り付けの箪笥は必要ありません。
中古住宅が、生まれ変わりました。
この会社では、リノベーション住宅の販売をワンストップでできるシステムを社内に構築しています。

【トータテリフォームセンター庚午店・造座賢星主任】
「設計・営業・コーディネーター・現場監督を含めて1つのチームというのはなかなかないと思います」
Q:それが連携が取れているから早い?
「そうです」

工期の短縮は、人件費などのコストを圧縮し、低価格にもつながる大切なポイントです。
住宅高騰の解決策となるのかリノベーション住宅は、今後、注目されます。

(スタジオ)
今ご覧いただいた物件は、同エリアで新築のものができた場合に比べて大体1000万円ぐらい安くなるそうです。場所にもよるそうですが、ひとつの目安として同じエリアの新築物件のおよそ2/3ぐらいで販売できるということです。

テレビ新広島
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