15日、立山黒部アルペンルートが全線開通し、富山は本格的な春の観光シーズンを迎えています。
こうした中、富山市の富山駅近くに、連日、外国人旅行客で賑わうゲストハウスがあります。
世界中から宿泊客が訪れる街中の小さな一軒宿。
その魅力とは...。

春の観光シーズンを迎えた富山。
円安の追い風などもあり、各地で外国人旅行客の姿が目立ちます。

勢いを増すインバウンド需要。
そうした中、連日、外国人客が絶えない小さな「宿」が富山駅近くにあります。

「こんにちは~」

富山市神通本町の「メブキハウス」。
内山和也さん、デルゼル・クロイさんの夫婦が、去年11月にオープンしたばかりです。

富山市出身で、青年海外協力隊の隊員としてエチオピアでの駐在経験のある和也さんと、アメリカ・オレゴン州出身でALT(小・中学校の外国語指導助手)の仕事をきっかけに富山で10年以上暮らし、働いてきたクロイさん。

それぞれに海外を経験してきたふたりが、夫婦で新たなチャレンジをしようとゲストハウスの運営に乗り出しました。

*和也さん
「(エチオピアにいたころは)外国人の視点でその国を見ていたので、そういう感覚で日本を見ると、良いところ、直した方がいいなっていうところも見えてくる」

ゲストハウスは木造3階建て、部屋は3つあります。
訪れるのは9割が外国人客で、アジアやヨーロッパなど国籍もさまざま。
来月にかけて、ほぼ毎日予約が入っているといいます。

そして「メブキハウス」ならではの工夫が、この共有キッチン。
調理器具を充実させました。

*クロイさん
「ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)は、日本に来ると食の選択肢が少ない。キッチンを使って、自分のちょっとした料理をつくって食べるのも需要はある」

さらに外国人客を惹きつけるのが、一棟まるごと貸切れるという点です。

先週末やってきたのは、インドネシアからの旅行客。
家族7人で12日間の日本旅行。
この日、関西から富山へ新幹線で移動してきました。

家族や友人など大人数で旅行することが多い外国人旅行客にとって、「一棟貸し」の宿はホテルよりもゆったり過ごせるのが魅力。
富山駅から徒歩圏内というのも大きなポイントだといいます。

*インドネシアからの旅行客
「我が家のよう、とても居心地が良い。地元の人のように過ごせるので、ここに決めた」

観光庁の調べでは、富山県内の外国人宿泊者数は、去年1年間でのべ21万人あまり。
(観光庁「宿泊旅行統計調査」速報値)
県によりますと、春が賑わう一方、冬場の誘客が課題で、通年で楽しめる魅力向上や情報発信が必要だとしています。

そんな中、今回訪れたインドネシア人客は...。

Q.なぜ富山を旅行しようと思ったんですか?
*インドネシアからの旅行客
「実は、おかしな話なんですが...。私たち兄弟は『ドラえもん』を読んで育ちました。知ってます?藤子・F・不二雄さん。彼が富山県(高岡市)の出身と知って、それで明日、“ドラえもんの公園”に行こうと」

*和也さん
「“ドラえもんミュージアム”(高岡市美術館内の藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー)も行く予定ですか?」

宿泊客にあわせて、観光スポットを提案…。

*クロエさん
「経営者として、富山についての知識を蓄えて、いろんな提案ができるような人になりたい。一泊だけじゃなくて、富山をゆっくり楽しむことができたらいいなって。私も好きになったところなので、他の人も好きになってくれればうれしい」

外国人客の目線でもてなす、小さな一軒宿。
富山県内周遊の拠点として、今後ますます注目されそうです。

観光庁は17日。
今年1月から3月までに日本を訪問した外国人の消費額が1兆7505億円となり、3カ月間の額としては過去最高を記録したと発表。
特に3月は、外国人の旅行者数でみても308万1600人となり過去最多でした。
1カ月での300万人超えは初めてで、富山のインバウンド需要も今後さらに増えていきそう。

富山テレビ
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