自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題を受け、国会では政治資金規正法の改正に向けた議論が始まっています。
かつて政務活動費の不正事件で揺れた富山から、法改正のポイントを考えます。

政界を揺るがした自民党派閥の多額のウラ金、キックバックの存在。
富山県選出の国会議員2人も、収支報告書に記載のないキックバックを受け取っていました。

*野上浩太郎参院議員
「不記載の形で処理することが長年の慣習だったということで、疑問を持たずに従ってしまった」

*田畑裕明衆院議員
「極めてずさんな会計処理が行われていた」

*県民は
「お金に関する感覚が麻痺していて、腹立たしい」
「脱税じゃないですか。有権者も悪い。チェックする機能がないが、やっぱり政治家の甘えだと思う」

一連の問題について、北陸の政治に詳しい東北大学大学院の河村准教授に聞きました。

*東北大学大学院 河村和徳准教授
「はっきりわかったことは、自民党は”自分党”であること。自分たちは説明するが、国民・有権者の共感が得られない。今回の事件そのものもそうだが、処分や今後どうなるかも見えてこない」

今月に入り、自民党は不適切な記載の金額が過去5年間で500万円以上の議員など39人を処分しました。
しかし、この事件を最初に刑事告発した神戸学院大学の上脇教授は、「500万円の線引きは合理的でない」と指摘します。

*神戸学院大学法学部 上脇博之教授
「わかっているのは氷山の一角。真実は全容解明されていないのに、処分すると中途半端な処分になるのは明らか。全く意味がわらかない。(処分の線引きが)なんで500万円なのか。確かに区切りがいいかもしれないが、今回の事件とどう関係するのか。直近5年間だけの氷山の一角だけを問題としているのに、500万円という数字が合理的とは到底思えない」

これに、河村准教授は…。

*東北大学大学院 河村和徳准教授
「国会議員はうっかりミスが500万円なのか。500万は普通の人の年収に該当する。真相解明ができる仕組みをこの契機に作ることが大事」

Q規正法は訂正すれば許される?

*東北大学大学院 河村和徳准教授
「戦前、選挙で選ばれた良民、「選良」が政治をやるので、基本的にミスがあっても自ら正すことができるという前提の古き良き時代の制度、考え方をベースとしていることに問題がある。訂正は滅多に起こらないだろうという前提の性善説に立った仕組み。ただ、これだけ大量に出ると、政務活動費もそうだが、性善説に立った制度は限界があることを示している」

そして、いま議論が本格化しているのが政治資金規正法の改正です。
各党の発表資料をもとにすると、ポイントは議員本人も責任を負う連座制や政治資金パーティーの運用、企業団体献金の見直しなど6つのポイントがあるようです。

*東北大学大学院 河村和徳准教授
「(6つのポイント)全部をうまく機能させるためにポイントなのが、第三者機関の設置。今までは外からの目がなく内々のルールでやっていて、『私は知りません。これまでそうやっていました』と。政務活動費も情報公開をしても不正がなくならないのは、第三者機関が機能していない。それを考えると、一番直接的な効果が大きいのは連座制かもしれないが、実際は第三者機関の設置がポイント」

Q今後の注目点は?

*東北大学大学院 河村和徳准教授
「政治のお金の流れもAIにチェックさせる、帳簿は全部デジタル化するなど、時代に合わせた動きが必要。我々はコロナを経験した。政治の世界もどれだけデジタルをやっていけるかがカギ。信頼を回復するために、デジタルを使う手段があるのに目をそむけている印象がある」

先日、来県した自民党の茂木幹事長も、今の国会で法改正を行う考えを強調していますが、国民が納得できる実効性のあるものになるか注目です。

富山テレビ
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