国民年金の納付期間を5年間延長して65歳までにしたらどうなるのか。
厚生労働省が検証する方針を固めたが、街からは賛否の声が上がっている。

まもなく年金の支払いを終える、59歳の女性。
家の冷蔵庫の中を見せてもらった。

小売業「曲がって安くなった野菜を買って、このままぬか漬けをしています」

スーパーで格安で買ったという形の悪いキュウリのぬか漬け。
さらに、食器用スポンジ置きには、肉を買った時のトレーを使うなど、地道な節約術でこれからやってくる年金生活を乗り切ろうとしていた。

小売業「物価も上がってきてるし、いろんなものが立て続けに値段も上がった。普段のちょっとしたことで(節約を)気をつけている感じはします」

多くの人が老後の生活に不安を抱える中、年金をめぐってある動きが。

国民年金の納付期間を5年延長。
年金の負担額が100万円増えるかもしれないという。

自営業などが加入する国民年金。
現在、保険料は、60歳までの40年間の納付が義務づけられている。

厚生労働省はこれを、65歳までの45年に、5年間延長した場合の試算を検証する方針を固めた。

2024年度の国民年金保険料は、月1万6980円。
これを5年間支払った場合、単純計算で100万円近く保険料を多く支払うことになる。

一方で、5年延長で保険料を支払う分、10万円ほどもらえる金額が増える可能性がある。

60歳を超えたあとの新たな負担について、街からは賛否の声が上がった。

会社経営(62)「60歳を過ぎてる人は再雇用(難しい)。給料も下がる人多いと思うので、厳しい」
会社経営(64)「(延長は)あってもいいと思う。みんな高齢化してきてるし」

東京・江東区にある砂町銀座商店街。
物価高で売り上げが減少する店も多く、年金の支払い延長には悲鳴が聞こえてきた。

天ぷら店 店主(50)「頼りにしていたものが頼りにできなくなる。あんまり長生きしたらダメなのかな」
クリーニング店 店主(60)「65歳になったら一息つきたいという感じで、旅行したりとか、そのときにちょっとお金が足りなくなるのは難しいかもしれない」

東京都内で1人暮らしをする小売業の女性からは、嘆き節が...。

小売業「あとちょっとで(年金が)終わりだと思ってたのに、本当に考えてやってくれてると思わない」

年金の納付期間の延長をめぐって、フランスでは、政府が62歳から64歳への延長を強行採決したため、各地で大規模なデモが発生した。

一方、見直しが検討されているのが、「在職老齢年金」。

現在65歳以上の人は、賃金と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、その分の半額が厚生年金からカットされる。

厚労省の試算では、在職老齢年金の見直しも盛り込まれる見通し。

50代「それはいいかもしれないですね。健康だったらずっと働きたい」

一方、「高所得者の優遇」や「格差が広がる」などとした批判の声も上がっている。

厚労省は、専門部会で試算項目を正式に決定。
そのうえで、検証結果を公表し、年金の今後のあり方を決める方針。

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