こちらの魚をご覧下さい。能登町の金沢大学能登海洋水産センターで薬剤を一切使わず養殖されているサクラマス「のとらうと 桜」です。金沢大学附属病院で、2023年4月、病院食の食材として一度、提供されました。しかし、今回の地震で、水産センターにも大きな被害が発生。今年の春は無理かと思われましたが…。

金沢大学附属病院で行われた記者会見。

金沢大学能登海洋水産センター 松原創センター長:
「(海水を取り込む)管が折れてしまっている。これが何で起こったかというと、津波です。海抜2mぐらいのところまで津波が来ている」

能登半島国定公園、九十九湾に臨む金沢大学の研究施設能登海洋水産センター。紫外線殺菌した九十九湾の海水と、地元の井戸水の淡水を配合して飼育することで、寄生虫などを駆除する薬やワクチンなどを一切使わない「オーガニック養殖」の研究を行っています。しかし…

金沢大学能登海洋水産センター 松原創センター長:
「もう見るだけで悲しいんですけど、魚です。もう真っ白です。魚の水槽に水が供給することができなくなっている。さらに酸素を送る管が断裂して供給できなくなった。そのためにほとんどが酸欠死という状態になりました」

地震と津波によってセンターは、敷地内に深さ1.5m以上の地割れが発生したほか、海水を取り込む取水管などが破損。飼育棟で育てていたトラフグやニジマスなど2万6000匹以上が死にました。

このため、2023年4月、サクラの季節にあわせて金沢大学附属病院に提供したサクラマスは今年は提供できないかと思われていました。そんな中…

金沢大学能登海洋水産センター 松原創センター長:
「能登町にある奥能登食材流通機構さんで保管していたサクラマスを今回ご提供させて頂く事になりました」

能登町宇出津にある民間の加工処理施設に冷凍保存していたサクラマスが無事だった事がわかりました。そこで11日、入院患者の食事として提供し、病院内のレストランでも外来患者や職員向けに明日まで提供されることになったのです。

金大病院・徳丸季聡栄養管理室長:
「能登から金沢の方に来られて入院されている方もいて、サクラマスを食べることで勇気付られたらと思っています」

ただ施設の完全復旧にめどはたっておらず、生き残った魚はセンター内に仮の施設を作り飼育を続けているという事です。レストランの売り上げの一部は、能登半島地震の義援金として寄付されると言う事です。

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。