兵庫県産のカニを高級ブランド「間人(たいざ)ガニ」と偽って販売した疑いで、水産業者の男らが逮捕された事件。

11日、京都府の西脇知事は「総力をあげて取り組む」と府で調査していることを明かした。

■未使用のタグが大量に隠されていた

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京都府 西脇隆俊知事:間人ガニのブランドイメージを極めて傷つけている。非常に遺憾ですね。

京都府・西脇知事が遺憾の意を示したのは、京都の高級ブランド「間人ガニ」をめぐる「産地偽装」事件。

京丹後市の「まるなか水産」取締役・中井満容疑者(42)ら2人が、兵庫県産のズワイガニに、「間人ガニ」を証明するタグをつけて販売した疑いなどで逮捕された。

「間人ガニ」は5隻の漁船にのみ漁が認められ、通常、漁協が「間人ガニ」を認定するタグを漁船の船長らに販売し、船長らは船の上でタグを取り付ける。

しかし、関西テレビが入手した動画には、中井容疑者の作業場に併設されていた倉庫に、大量の未使用のタグが隠されていた様子が記録されていた。

関係者は中井容疑者の手口をこう語る。
関係者:タグ自体を津居山(ガニ)のを切ってしまって、切った後に間人の(タグ)をつけることをすれば、一般の人は通常では分からない。津居山が1万円だったら、間人は4万円・5万円の世界。

兵庫県で水揚げされた津居山ガニを示すタグを、中井容疑者がハサミで切り、より高価な「間人ガニ」の認定タグに付けかえていたというのだ。

さらに、関係者は他の会社でも偽装が行われていたと証言している。

11日、西脇知事は産地の偽装が「食品表示法」などに抵触する可能性があるとして、府で調査をしていることを明かした。

京都府西脇隆俊知事:北部観光に影響が出るのではないか。それ以外の、京の食ブランドについてのブランドイメージが傷つくのではないか。ここは警察の捜査ですから、全面的に協力して、再発防止を含めて、もう一度、信頼回復のために、皆が動かないといけない。

京都の観光資源を揺るがす事態。
行政の対応にも注目が集まる。

■ブランドの証明である「タグ」の管理体制 信頼を取り戻す再発防止策を

ブランドガニの信頼を揺るがした、今回の事件だが、他のカニの産地では対策が進められている。

福井の越前がにのケースでは、船主がタグを漁協に発注する形になっていて、越前町の漁業協同組合によると、1回の航海ごとに漁協が水揚げの数を確認しているそうだ。船主は使用したタグの数を記録して、シーズン後に、その数を漁協に報告している。もし、万が一、数が合わなかったら、理由の聞き取りが行われるということだ。

地域のブランドを知的財産として国に登録するといった地理的表示(GI)保護制度というものがあり、これにも登録していて、国の抜き打ちチェックもあるということだ。

漁協による、こういった対策も必要ではないだろうか。

番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は「ブランドの証明であるタグの管理がどうなっているのか。本気でブランドを守るつもりならば、管理を徹底しなければおかしい。管理が曖昧で問題があったのではないか」と指摘する。

タグの数を船長が確認するようにしたり、新たに産地が書かれたプレートを導入するという再発防止策も取られるそうだ。

関西テレビ 神崎博報道デスク:間人ガニというのは、特に厳しい基準があります。例えば、とれる漁場の深さ、大きさ、重さ、身の詰まり具合、色、つや、形などの50の項目をクリアしたモノしか間人ガニを名乗れないことです。それだけ厳しい基準をクリアしたものに、消費者は高いお金払っているわけですから、ブランドを守るというのは、行政も含め絶対やっていかなければならないことです。

消費者の信頼を取り戻す再発防止策を講じてもらいたい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月11日放送)

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