TSKと山陰中央新報社のコラボ企画「カケルサンイン」。
共通のテーマを同時に取材、テレビ映像と新聞紙面の両面からニュースの核心に迫ります。
TSK・田中記者:
コラボ企画の第1弾は浜田市出身、陸上の三浦龍司選手です。
世界に羽ばたく若きアスリートの強さの秘密に共同取材で迫りました。

「三浦は8番目からさらに追っていく!」
「日本の三浦は7番目入賞フィニッシュ!」
「日本の三浦龍司、この男子の3000M障害初めての入賞!」
実況中継のアナウンサーも力を込めた、2021年の東京オリンピック、陸上3000メートル障害決勝レース。
当時、大学2年生ながら、この種目で日本人初の7位入賞を果たした浜田市出身の三浦龍司選手。
2023年、この種目で自身が持つ日本記録を更新するなど、進化を続ける22歳です。

三浦龍司選手:
「パリオリンピックは、本当、目指していた目標ですし、そこで結果を残したいっていう気持ちがあるので、今まで表彰台、入賞というところでステップアップしてきましたけど、パリオリンピックでは、メダルを狙っていきたいなと思います」

この春、順天堂大学を卒業して、実業団・SUBARUに入社。
現在も大学の施設を使って練習に励み、2024年夏に開催されるパリオリンピックへの出場、そして、メダル獲得を目指しています。
出場の条件は、6月30日までに参加標準記録8分15秒を突破することです。
そもそも3000メートル障害は、高さ90センチを超えるハードルを28回、水豪を7回跳び越えながら、トラックを3000m走る、陸上競技の中でも異色の種目です。

三浦龍司選手:
「距離で言えば3000mですけど、その中に障害を飛ぶっていうテクニックな部分があったり、その距離の中で独特なスピードだったり、プラス、スタミナだったり、走破能力と「障害を越えていく」っていう、すごく総合的なスキルが求められる種目かなと思います」

この種目で重要なのが、過酷なレースを走り切る「スタミナ」。
障害物を、スピードを落とすことなく飛び越える「ハードリング技術」、ラストスパートでの「スプリント力」。
まさに「総合力」で勝負が決まります。
世界のトップランナーと互角に戦う三浦選手。
特に優れた能力が「ハードリング技術」です。
運動力学が専門の筑波大学の榎本准教授によると、三浦選手は他の選手と全く違う「傑出した能力」を持っているといいます。

筑波大学体育系・榎本靖士准教授:
「例えば、ハードルを越えていくので、重心の高さがあまり高くならない方がいいというふうに考えるのが一般的だと思います。三浦選手は、障害を超える時に、いわゆる足を乗せる障害の超え方をするんですね。あんまり海外の選手って、足を乗せないんですけど、三浦選手と同じレベルの中にいても、足を乗せていて、その分やっぱり重心は結構高く上がってしまうんだと思うんです」

三浦選手の最大の強みはハードル前に加速できること。
一般的な選手が、ハードルをできるだけ低く飛ぼうとして直前で減速するのに対し、三浦選手は加速したまま、敢えて上方向にジャンプして飛び越えます。
一見、タイムロスのように思えますが、位置エネルギーを着地で活かし、その後の加速にもつなげています。

三浦龍司選手:
「僕の、ある意味特性でもありますけど、そこ(ハードル)にあまり神経だったり、パワーを使ってない、使わずにいけるっていうのが強みでも、1つの特性かなとは思いますね」

このスムーズな動きは一朝一夕で身につくものではありません。

筑波大学体育系・榎本靖士准教授:
「多分小さい頃からいろんなスポーツやってとか、そういうのが障害に対して良い影響だととらえられているっていうのは、多分そうだろうなと思います」

三浦選手は小中学生の時、地元・浜田市の陸上クラブに所属していました。

三浦龍司選手:
「陸上以外のスポーツもやったりとか、陸上競技の中で長距離の打ち上げが得意なんだけど、短距離の種目やったりとか、跳躍系の種目をやったりとか、総合的にやっていくスタイルだったので、その子ができる動作だったりとかやっていけるような動き運動が増えていくっていう感じで、それが小さいころに培われているものなので、体に残っているというか、そういうのは、やっぱり僕自身は感じる」

ふるさと島根が原点の卓越した「ハードリング技術」を武器に、三浦選手は世界と渡り合います。

TSKさんいん中央テレビ
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