■39人を処分した自民党
自民党の政治資金問題をめぐる最大の山場だった39人の処分。先週下された、その処分の余波は今も続いている。
まもなく、9年ぶりの国賓待遇でのアメリカ訪問に出発する岸田首相。懸案だった政治資金問題をめぐる、39人の処分という山は越えたものの…。先週、自民党から「離党勧告」処分を受けた安倍派の座長、塩谷立元文部科学大臣は、処分を不服として、今週中にも自民党に再審査を請求する見通しだ。
一方、同じく離党勧告処分が決定した和歌山選出の世耕弘成前参院幹事長は、処分発表後、すぐに自民党を離党。その世耕氏が公の場に姿を現したのはその2日後だった。
■世耕前参院幹事長が近畿大学の理事長として入学式に祝辞
卒業生がゲストとして登場し、会場を盛り上げた近畿大学の入学式。
「理事長職は政治活動と関係がない」との立場を示している世耕氏は、この日、近畿大学の理事長として約8000人の新入生を前に祝辞を述べた。
近畿大学 世耕弘成理事長：変化の激しい社会における、自分の立ち位置をしっかりと把握をしてもらって、巣立っていただきたい。
■世耕氏は「すごいしっかりされた方だな」と新入生
新入生は…
新入生：近畿大学に入学しているくらいなので、（世耕氏に対しては）尊敬の気持ちはあります。
新入生：やっぱり不安ではありますけども、話を聞いてると、すごいしっかりされた方なんだなと思って、そこは安心しました。
保護者は…
保護者：社会を変えてもらわんとだめなんで、期待しています。
■近畿大学の職員からは辞任を求める声も
新入生や保護者からは好意的な声が聞かれる一方、教職員の中からは辞任を求める声も上がっている。
近畿大学文芸学部 藤巻和宏教授：こんな政治資金の管理がずさんになったというのは、近畿大学関係者としてだけじゃなくて、一国民として、許せることじゃないです。
近畿大学で日本文学を教える藤巻教授をはじめとする有志の教職員は3月、世耕理事長の辞任を求める署名をオンラインで集め始めた。
近畿大学は、世耕理事長の祖父が創設し、教育目的として「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人の育成」を掲げている。
藤巻教授は、世耕理事長に政治資金問題が発覚した上で、なおトップにすえておくのかと疑問を呈している。
近畿大学文芸学部 藤巻和宏教授：学校法人理事長として、自分自身も常に口にしている建学の精神と教育目的。自分自身がこれにかなった人物であるかどうか、そういうところをもう一度しっかり考えて、その上で自分で決めて欲しいと思っています。
署名サイトには8日午後4時時点で4万人以上の賛同が集まっている。
■自民党内には「これは権力闘争だ」という受け止めが
世耕弘成前参院幹事長は自民党を離党、塩谷立元文部科学大臣は再審査を請求する見通しで、処分への対応はさまざまだ。
番組コメンテーター 共同通信社 太田昌克さん：今回の処分は自民党内に深刻な亀裂と禍根を残したと思っている。総理の周辺は、『9日からの訪米で、なんとか政局運営の流れを変えたい。処分で一区切りさせて良い方向へ持って行きたい』ということでした。週末に二階派・安倍派の処分された議員も含めて取材をしました。ポイントは2つ。1つは500万円という処分線引きです。500万円以下で処分されなかった議員たちには、岸田さんの『味方についてほしい』というメッセージを送っているのではないかと受け止め方があり、自民党内に『これは権力闘争だ』という言い方をする議員もいる。もう1つは、総理自身に処分がなかったことに対する不満。宏池会のトップで会計責任者は立件されているので、なぜ管理責任が問われないんだと、厳しい声が相次いでいます。
岸田首相は「処分をへて、国民そして党員の皆さんに、判断していただく立場」と話した。その判断は私たち有権者に委ねられている。
（関西テレビ「newsランナー」 2024年4月8日放送）
