機密情報として保全する対象を経済安全保障分野に広げ、機密を取り扱える人を限定する「セキュリティー・クリアランス」制度を導入する新たな法案が、衆議院の内閣委員会で5日、与野党の賛成多数で可決された。

法案は、漏えいすると国の安全保障に支障を与えるおそれがある情報を「重要経済安保情報」に指定し、そのうえで、国が身辺調査で信頼性が確認された人のみが情報を取り扱えるようにする「セキュリティー・クリアランス」制度を導入することが柱。

対象は、公務員のほか、民間企業の従業員なども含まれ、情報を扱えるかどうかの資格審査として、本人の同意を前提に、犯罪歴や飲酒の節度、家族の国籍なども調査するとしている。

また、情報漏えいに対しては、拘禁刑や罰金刑が科される。

政府は、この制度の導入について、欧米各国など、すでに同様の制度を導入済みの各国と情報管理で足並みをそろえ、情報共有を図る狙いがある。

一方で、政府が恣意(しい)的に機密指定することで、国民の知る権利が制限される懸念などが指摘されている。

制度を所管する高市経済安保相は、国会の質疑の中で、早い段階から有識者の意見を伺うとともに、情報管理の対象となることが想定される民間事業者などの意見も伺う必要があるとの考えを示したうえで、法案成立後、政府として「政令案・運用基準を作成し、可能な限り早いタイミングで順次公表する」と述べている。