物流業界では、現在『物流2024年問題』と呼ばれる、「トラックドライバーの時間外労働の上限規制の強化によるドライバー不足・輸送力不足」問題と、それに伴う「トラックドライバーの時間外割増賃金上昇による輸送コストの上昇」問題に直面しています。
そこで栗林商船グループは、これらの問題の解決に向けた取り組みとして、大阪発着貨物のニーズ増加に対応するため2024年2月から大阪寄港を増便し、あわせて、小口貨物に対応できるサービスとして大阪~仙台間で混載便サービスを開始しました。
栗林商船グループの強みである海陸複合一貫輸送を最大限に活用したサービスの開始にあたり、新たにサービスを始めるに至った経緯や、サービス立ち上げの背景にはどのような苦労があったのかについて、営業本部副本部長兼第二営業部長の栗林良行さんにその取り組みを聞きました。
■栗林商船グループの事業概要と強みを教えてください■
栗林商船グループの強みは、多岐のニーズに応える海陸複合一貫輸送
栗林:栗林商船は苫小牧、釧路、仙台、東京、清水、名古屋、大阪を結ぶ海上輸送を主事業としている内航海運会社で、7隻のRORO船(注1)と自社およびグループ各社が保有する約3300台のトレーラーを用い、トレーラーリースによる海上輸送サービスも行っており、多岐のニーズに応える海陸複合一貫輸送サービスを提供できることが栗林商船グループの強みとなります。
(注1)
Roll On-Roll Off Shipの略称で、トラックやトレーラーが自走で船に乗り込み、貨物を積載したまま運搬できる貨物船です。
荷役時間を大幅に短縮することができ、納期、安全品質、低コストの実現だけでなくCO2排出量を低減するなどの環境負荷軽減輸送など、多岐にわたるニーズを満たすことが可能となります。
■新たなサービス内容と、それらを立ち上げたきっかけとは?■
小口貨物の需要増に合わせて混載サービスを開始、物流業界の課題解決へ
栗林:まず大阪寄港を現在の週3便から週4便へ1便増便をいたしました。
以前より大阪発着貨物は東京を含め、北海道などその他の地域からの荷主様の需要も増加傾向にあったため、2024年2月から大阪寄港を週4便へ増便することで、それらのニーズに対応していきたいというのがサービス開始のきっかけです。
さらに、同時に大阪~仙台間で新たに小口サービスとして混載サービスを開始いたしました。
大阪~仙台間では特に今後、小口貨物の需要増が見込まれていて、それらのニーズに対応していきたいという思いから混載サービスを開始することにいたしました。また、物流業界の喫緊の課題として『物流2024年問題』への対応が直前に迫る中で、弊社の強みである海陸複合一貫輸送を活用したサービスを提供する事で、物流業界に貢献できるのではないかと考えたのがサービス開始のきっかけです。
■今回のサービスによって解決できる物流課題とは?■
小口貨物を持つ荷主様に対応し、物流2024年問題に貢献
栗林:『物流2024年問題』の課題解決策として、従来は20tトレーラーシャーシを中心に貨物の集配、輸送を行っていましたが、混載サービスの開始によってパレットT11型のみになりますが、20tよりも少量の小口貨物のニーズに対応することが可能になります。環境問題への取り組みからモーダルシフト推進のトレンドにあって、海上輸送への切り替えを検討しているものの、貨物量が20t揃わないため海上輸送をやむなく検討外とされている荷主様がいる可能性があると考えています。
加えて、『物流2024年問題』が直前に迫っていることもあり、特に本州間の輸送が現状通り行うのが難しくなることも想定されます。2024年問題が適用開始となると仙台~大阪は約800kmあるために、小型車の運行では連続13時間を超えてしまう可能性があり、拘束時間の1日あたりの原則時間を超えることになります。
そこで小口貨物を持たれている荷主様に対応することで、2024年問題という物流課題の解決に向けて弊社のサービスが貢献できればと考えております。
■サービスを形にするまでに苦労したこと、大変だったことは?■
課題だったコスト削減、クラウドメールで大幅軽減
栗林:混載便の運用に携わる人員や業務負担に関わる見えないコストをいかにして削減化させるかという課題に対して考え悩みました。そこで、当社と陸上輸送を行うグループ会社2社とで、これまで紙ベースで行っていた関連作業や業務分担の振り分け情報をクラウドメールで共有化することで早期の情報展開が可能となり、各社の業務負担を大幅に軽減する事ができました。
また、サービス開始にあたり、サービス内容の検討および精査を関係各所と念入りに行いました。具体的には、担当部署の設定(受付窓口)、作業機械の確保(リフト1機)、荷作業場所の確保(有地内倉庫)、荷作業時間の確保(9時-15時 昼1時間抜き(5時間作業))、サイズ範囲外の検討、貨物保険の付保条件、運送業者賠償責任保険の確認など、取りまとめるのはかなり大変でしたが、多岐に渡る検討を重ねてそれぞれ確保することができました。
さらに、営業用商材として、潜在顧客のニーズに刺さるシンプルな営業ツール作成の必要性から、あらゆるジャンルで即日対応できる業務対応のビジョンを策定することが不可欠であったため、営業ツールであるリーフレットをより簡潔にして、荷主様が必要とするサービス情報を一覧化する事でシンプルな内容としました。
■今後の展望を聞かせて下さい■
海上輸送だけでなく、今後は様々な物流ニーズの対応へ
栗林:栗林商船グループは、RORO船での海上輸送を中心としておりますが、その他の様々な物流ニーズに対応可能と考えています。つきましては、輸送や物流に関する疑問や相談事等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
〈サービスの詳細について〉
今回ご紹介いたしましたサービスの詳細については、以下をご参照ください。
【混載便詳細】
・対象航路 大阪⇔仙台
・対象貨物 T11型パレットを使用した貨物/L:W:H:1.1mサイズ(1t)
※上記以外に長尺物や重量物の取り扱いも行っております。詳しくは文末の【本件に関するお問い合わせ先】をご覧のうえ、お問い合わせください。
・受渡条件 倉庫受け倉庫渡し
・海上運賃 1P/L ¥8,000 + BAF(注2) (税別)
(注2)
Banker Adjustment Factorの略。燃料調整料金のことで、燃料価格の変動に対して調整される料金です。
◆配船日程
最新の運航スケジュールは【会社概要】に記載の弊社ホームページをご覧ください。
【大阪港⇒仙台港】
大阪発(火曜日)⇒仙台着(木曜日) (週1便 月4回航海 年48航海)
【仙台港⇒大阪港】
仙台発(火曜日)⇒大阪着(木曜日) (週1便 月4回航海 年48航海)
◆貨物の荷渡し場所
〈大阪〉
大和運輸株式会社 営業部 大阪市営上屋B-2倉庫
住所:大阪府大阪市住之江区南港南3-8-48
大和運輸B-2倉庫 現地①
大和運輸B-2倉庫 現地②
〈仙台〉
三陸運輸株式会社 倉庫部 仙台港物流センター
住所:宮城県仙台市宮城野区港2丁目1番4号
三陸運輸仙台港物流センター 現地①
三陸運輸仙台港物流センター 現地②
■栗林商船株式会社について
【会社概要】
社名:栗林商船株式会社
本社所在地:東京都千代田区大手町二丁目2番1号
代表取締役:栗林 宏𠮷
事業内容:苫小牧、釧路、仙台、東京清水、名古屋及び大阪に内航大型RORO船を運航する内航定期船事業、小型船を日本全国に運航する内航不定期船事業を主たる事業としている内航船社です。内航大型RORO船が寄港する各拠点には栗林商船グループの港湾荷役会社ならびに協力会社があり、港湾における貨物の積揚、トレーラーを利用した内陸への集配を行う海陸一貫輸送サービスを提供しています。
設立:1919(大正8)年3月29日(1894(明治27)年創業)
HP:https://www.kuribayashishosen.com/
(本件記事に関するお問い合わせ先)
e-mail: konsai-info@kuribayashi.co.jp
【本件貨物の取り扱いに関するお問い合わせ先】
〈大阪〉
大和運輸株式会社 営業部(栗林商船の連結グループ会社)
大阪府大阪市住之江区南港南3-8-48
TEL:06-6612-0501 FAX:06-6612-0508
e-mail:contact@yamato-unyu.co.jp
〈仙台〉
三陸運輸株式会社 複合輸送部 仙台港事業所(栗林商船の連結グループ会社)
宮城県仙台市宮城野区港4丁目9番6号
HP: http://www.sanriku-unyu.com/
TEL:022-387-1702 FAX:022-387-1716
e-mail:fukugou@sanriku-unyu.com
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