ウルトラマンの生みの親として知られる南風原町出身の脚本家・金城哲夫。生誕85周年の節目にふるさと南風原町の劇団が金城哲夫さんをテーマにした舞台をあすから上演します。さらに、およそ50年前のある場面での貴重な肉声音源も舞台で初公開されるということで稽古の様子を取材しました。

(稽古)「ウルトラマンの脚本家として知られることになる金城哲夫さんは…」「ウルトラマンを作る前に沖縄で映像作品を作っていたんだね。」「そこで僕は金城哲夫さんが作った沖縄芝居をやってみたいなと思いました。」「その名も佐敷のあばれん坊。」「佐敷のあばれん坊?」

小林美沙希キャスター「本番まであと少し。メンバーのみなさんは熱のこもった稽古を重ねています。」稽古に励むのは2018年から活動する南風原町の劇団「海」。毎年南風原に関わりのあるものを劇にしていて今年選んだテーマは。

「南風原の先輩、津嘉山出身の金城哲夫さんが生誕85周年ということで金城哲夫さんをテーマにお芝居をやりたいと思います。」ストーリーは劇団海のメンバーが金城哲夫さんについて調べて芝居を作るというものでその中で金城さんが生み出した作品についても触れていきます。

団長をつとめるのは南風原町出身、お笑いコンビ「ハンサム」の仲座健太さんです。「僕ら自身も、哲夫さんのことってあんまり分からないんですよね。色々な功績とかは知っていたりするんですけど実際どういう人物像なのかとか今回、色々なことを調べて書かせてもらったことで、一気に近所のおじさんになりましたね。」

生まれは東京、育ちは南風原の金城哲夫。沖縄戦を経験した後に上京し高校・大学と東京で過ごす中で脚本を書くようになりました。「1963年に設立された円谷プロダクションに所属しそこでウルトラQ、ウルトラマンやウルトラセブンなどの企画立案や脚本を手掛け、円谷プロ初期の最大の功労者の一人になったのです。」

”ウルトラマンの生みの親”として知られる金城哲夫は本土復帰を沖縄で迎えたいと南風原に戻ると1975年の海洋博のセレモニーの企画・演出も担当。沖縄芝居の脚本も手掛けていました。今回の劇では沖縄芝居のひとつ、尚巴志の若かりし頃を描く「佐敷のあばれん坊」をアクションを交えて再現するのも見どころのひとつです。

「もうすぐだ、もうすぐこの琉球にも朝日のさす平和な時代がやってくる。このいくさは、その為のいくさだ。」劇団海新垣匠さん「ウルトラマンはヒーローでかっこいい部分もあって、また佐敷のあばれん坊の尚巴志さんは、またそこはそこでちょっと荒々しくも、ヒーローでかっこいいなというところもうまくリンクさせながら、見せられたらいいかなと。」

劇団海のメンバーも今回の舞台を通して見えてきたことがありました。劇団海ただのあきのりさん「哲夫さんの人物像がだんだん見えてきた感じですね。すごい人なんだ、ウルトラマンだけじゃないんだ南風原のためそして沖縄のためにやっていた人なんだなというのを感じていますね。」

金城哲夫の人柄についてもっと知りたい。調査を進める中で思いがけないできごとが…。仲座団長「なかなかいろいろ調べても最初は出てこなくて、そうしたら(劇団)海のメンバーで集まったときに、『なんで、私(金城哲夫さんに)結婚式の司会やってもらったよ』みたいな話が出て、『ちょっと待ってどういうこと!?』みたいなところから。哲夫さんの司会をやっている肉声の音源が手に入ったので、これはもう舞台で紹介させてくれということで。」

「こちらがその音源のテープです。哲夫さんの貴重なお声が入っています。」入っているのは金城哲夫が結婚式の司会をしている音声。自分の結婚式で司会をしてもらったというメンバーは、「テレビに出るのは恥ずかしい」ということで代わりに南風原町観光協会で話をききました。

南風原町観光協会金城朋枝さん「海洋博当時に結婚式を挙げられたみたいで。(テープが)出てきたはいいけど、まだ聞いたこともないとおっしゃっていましたね」そこで、金城哲夫に関する事業の一環として音源をデジタル化。およそ50年ぶりにその声がよみがえりました。

金城朋枝さん「日常の音源というのは初めてですね。いろんなハプニングがあったのか、哲夫さんが歌ったりする場面もあったりとか。哲夫さんの温かさを感じます。」

気になるその音声は舞台で初公開!ということなのですが…(音源を聞く一連のやりとり)小林キャスター「ちょっとだけ聞かせてもらうことは可能ですか」仲座さん「聞きます?じゃあ、ちょっとだけ…」

(金城哲夫司会の音声)「大変長らくお待たせをいたしました。ただいまからウェディングマーチにのりまして、新郎新婦の入場でございます。今日のこの喜びを隠しきれないように、満面に微笑を浮かべての新郎新婦の入場でございました。」

仲座さん「あ、すみませんもうここまででいいですか。あとは本番を見に来ていただければ全部見せますんで。全部聞かせますんで。」生誕85周年となる節目に発見された人柄が垣間見える貴重な肉声音源。さらに、ウルトラマンから沖縄芝居まで幅広い作品を世に送り出した金城哲夫の功績を楽しみながら知ることが出来る舞台はいよいよ23日から上演されます。

劇団海仲座健太団長「舞台を観に来た人たち、劇団海のメンバーも含め、哲夫さんの魅力というのは、こんなふうに多岐にわたって色々なものがあったんだよというのを知ってもらえたら、一番いいなと思いますね。」

劇団海の「てつをカチャーシー~ビバ!金城哲夫先輩~」は23日から2日間、南風原町立中央公民館で上演されます。

沖縄テレビ
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