最近耳にする機会が増えてきた「カスタマーハラスメント」

顧客から従業員への暴言や迷惑行為のことだ。

働く人を守ろうと、新たな取り組みも始まっている。

多くの人が経験している“カスハラ”

カスハラについて、マチで聞いてみると。

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「予約を受け付けるところなので、うまくできないお客さんだとイライラして口調が荒くなって『早くしろよこの野郎』と言われるのは多々ある」(コールセンターで「カスハラ」経験)

「『なんでこんなこと早くできないの』って小学生に言われた。年齢問わず、攻撃性のある言葉は誰に言われてもきつい」(観光施設で「カスハラ」経験)

タクシーはその密室性ゆえに、被害にあうことも多いという。

「ファイターズの試合が負けて(乗客男性が)怒っていた。「ここ曲がるんですか」と聞いたらそうだよと言われて、曲がったら「ここ違う!」といきなり蹴飛ばされた」(タクシー運転手)

“カスハラ”への対策は?

対策はどうしているのか聞いてみると。

「『これありますよ』っていうのが1番効く。社内専用のドライブレコーダー。必ずつけなきゃだめだと思うよ、タクシーの運転手は」(タクシーの運転手)

冬の観光シーズンを迎え、世界から観光客が来る北海道。

宿泊施設ではこんなことも。

「海外だとサプライズが当たり前の文化。結婚記念日で宿泊しているお客さんから『安くしてほしい』という要望だった。断ってもフロントに1時間ぐらい『サービスしてもらえないか』と言い続けていた」(宿泊施設で「カスハラ」経験)

労働団体でつくる北海道勤労者安全衛生センターの調査で、カスハラを受けたと回答したのは約6割。

割合は暴言が最も多く、中には土下座の強要をされたと回答する人も。

迷惑行為をした人は男性が約75%、女性が約22%。年代では50代が最多、続いて60代と高齢者の割合が多い結果だった。

市の窓口でも“カスハラ”

カスハラの被害を受けるのは民間企業だけではない。

「お前は税金で食ってるんだろう!言ってる意味が分かるか殺すぞ」

「警察でも何でも言えばいいんだ。お前ほんと生意気だな」

これは札幌市の窓口にかかってきた、男性からの電話。

こうした電話が3日間続いた。

窓口で市民と接する職員を対象に行った内部調査では、「強いストレスを感じている」とした人が7割にのぼった。

そこで、市は2023年7月から対策を始めた。

「こちらは札幌市市民の声を聞く課です。会話の正確な把握のため録音させていただきます」(自動音声)

市政に関する市民からの相談を受ける広聴部門では、自動音声で案内した上で通話記録を録音している。

カスハラについてのポスターも掲示したほかマニュアルも作成。

カスハラにあたる場合は電話を切るなどの対応をしている。

「根拠のない中で暴言を吐かれて、それをじっと我慢するというのが続いた。『今のは脅迫にあたりますよ』と根拠を示して対応にあたれることは心強い」(札幌市 市民の声を聞く課 谷川晋介 係長)

録音を始めてから暴言やセクハラ発言も減ってきているということだ。

ハラスメント対策に詳しい専門家は、勤務先が従業員を守る姿勢を示すことが大切だと話す。

「1人でできることは限界がある。私たちの研究でも従業員に1番ストレスになるのは、カスハラそのものよりもチームや組織に助けてもらえないこと」(日本カスタマーハラスメント対応協会 島田 恭子 教授)

北海道議会では条例を検討

2024年2月、道議会の自民党会派がカスハラを防ぐための条例の検討を進めることが明らかになった。

成立すれば全国初だ。

働き手が減るなか、働く人たちを守るための取り組みが求められる。

北海道文化放送
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