うるま市石川にあるゴルフ場の跡地に陸上自衛隊の訓練場を新たに整備する計画が進められています。

教育施設に隣接し住宅地からも近いこの場所になぜ建設するのか、地元に住む人たちは疑念や不安を募らせています。

計画が明るみにでたのは去年12月、防衛省は陸上自衛隊の訓練場を整備するため、うるま市石川のゴルフ場跡地の取得にかかる経費を来年度予算に計上しました。

おととしの安保関連三文書の改定で南西地域の防衛力強化を打ち出した政府。

沖縄を拠点とする陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げすることを決め、新たな訓練場として選ばれたのがうるま市石川のゴルフ場跡地でした。

訓練場ではヘリの離着陸や空砲による射撃訓練などの運用が計画されていました。

11日、ゴルフ場跡地に隣接する旭区と東山区の住民を対象に開かれた説明会。

防衛省担当者
「周辺地域への影響をしっかりと最小限にするように取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます」

区民
「最小限に影響を及ぼさないというのは影響があるということですよ」

説明会で防衛省は実弾や空砲、発煙筒などは使用しないこと、またヘリコプターは災害時や緊急時以外は飛行しないと方針を変更したと説明しました。

これに対し住民からはなし崩し的に基地機能が強化されていくことへの強い懸念が示されました。

区民
「与那国も最初はこの沿岸警備隊だけですよと、こう言いながら、もう最近はミサイル持ってきますよと、全然話がどんどんエスカレートして。だから今日の説明を聞いてもはっきり言って全く信用できないです」

区民が強く反対するのはゴルフ場跡地の立地が大きな理由となっています。

「どうにかして撤回してくれないかな。『まさか』でしょうね。それしかないんですよ」

石川青少年の家の指定管理者、うるま市シルバー人材センターから派遣され施設の所長を務める石原昌二さんです。

石川青少年の家・石原昌二所長
「ここの方が子どもたちが寝る部屋なんです。宿泊室。一番近いところで、このゴルフ場ですから。あんなに遠いところが飛んでるヘリコプターでもあんな音ですから、ここで離着陸なんかしようもんなら大変だと思いますね」

ゴルフ場跡地から青少年の家まで、最も近いところでおよそ15メートル。宿泊棟からの距離もわずか60メートル程です。

石川青少年の家・石原昌二所長
「特に心配しているのは、夜間訓練などここで子どもたちが眠るところの近くで、そういったことが行われると騒音が出てくると思います。1泊2日、入れ替わり立ち代わり泊まっていきますので、それが心配ですね」

1975年に開所した石川青少年の家は、石川岳のふもとという豊かな自然の中で野外炊飯やキャンプファイヤーナイトウォークラリーを子どもたちが体験でき、年間4万人以上が訪れています。

「3月頭までぎっしり入っている」

石原所長が見せてくれた年間の予約表には、学校や学童などの団体予約で埋まっています。

石川青少年の家・石原昌二所長
「寝泊まりをして、楽しく帰っていくという、こういった施設であることをもっとよく理解してほしいと思います。理解が足りないんじゃないかな。ただ土地がある。ここに建てると。これがちょっと僕としては常識外れてはないかなっていう気持ちがするんですね」

旭区の住民でもある石原さん。

去年12月に訓練場の整備計画が明らかとなり、自治会のメンバーとともに沖縄防衛局を訪れ計画の断念、撤回を求めました。

石川青少年の家・石原昌二所長
「そのときに、私質問したんですが、『県立の青少年の家があるってことは知ってますよね?』ってことで『知ってる』と。『どういう使われ方をしてるか知ってますか』と言ったら、『ちょっとわからない』っていう雰囲気があったんですね」

子どもたちが自然の中で学び、寝泊りする施設であるという石原さんの説明に対し、防衛局からコメントはなかったそうです。

石川青少年の家・石原昌二所長
「自衛隊には賛否両論あると思いますがこれは全く関係なく、私は話をしています。ここにそういった訓練場を建ててもらうと困る」

今月1日、石川地区の15全ての自治会で作る自治会長会が会合を持ちました。

自治会長会の出席者からは「区民の中に自衛隊員やその関係者がいる自治会もある。自衛隊に対してではなく、あの場所に建設することへの反対だ」などという意見があがり、自治会長会は住民生活への影響が強く懸念されるとして反対の意志を表明しました。

説明会で発言する区民
「この訓練場をこんなところに作ることに絶対反対だと皆さん意見は一致しているんです。保守・革新関係ないです。すぐ側にこういう訓練場を作ることに対してこれはもうさすがにないでしょう。ということなんですよ。そこをはっきりまずわかってほしい」

説明会では旭区と東山区以外からも話を聞きたいと訪れた人もいましたが、会場に入ることは制限されました。

防衛局担当者
「必要な内容・規模の訓練が可能になる広さだというふうな考え方でございます」

区民
「自分たちの利便性だけ考えて、東山・旭区の区民のことは何も考えてない」
「どういう採決があり、その前にどういう合意形成が行われたのかちゃんと説明をしてから、この説明会が開かれるべきだと思いますR」

防衛局担当者
「我々省内の検討の中でこう決めたというとこでございます」

住民たちが求める説明は尽くされないまま、時間切れという形で説明会は打ち切られました。

安全保障、防衛力強化の名の下でそこに暮らし生活を営む人たちの声は無視されてもいいのか。

地元うるま市では市議会議員や自治会長会、そのほか各種団体による有志の会を立ち上げて計画の撤回を求めていくことにしています。

沖縄テレビ
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