能登半島地震の発生から2月1日で1カ月。被災地では広い範囲で続く断水が深刻な課題となっている。
その解消のため、現地で支援を続けている岩手県北上市の企業の社長に、今の思いを聞いた。

元日に発生した能登半島地震から1カ月。
石川県では1月31日午後2時時点で、死者238人、安否不明者は19人、そして4万6294棟の住宅に被害が及び、1次避難所には9557人が身を寄せている。

北上市で医療用ガスの製造・販売を手掛ける「北良」の笠井健社長(49)は、「大きな災害、支援のニーズ把握のため現地に行っていた」と話す。

北良では熊本地震など全国の災害現場で支援を行った経験があり、今回の能登半島地震でも1月3日に被災地へ向かい、大きな課題となっていた「水」の支援に取り組んだ。

北良 笠井健社長
「水がいかに、人が生活する上で必要かと。医療に水が使えないと大きな問題になることが浮き彫りになった」

石川県では、1月31日午後2時時点でも4万890戸余りで断水が続いている。

こうした中で活躍したのが、北良などが現地に設置した手洗い装置、そしてテント型のシャワー室だ。

ともに排水の98%以上を再利用できるシステムを備えている。

このシステムは、北良が提携する東京のベンチャー企業「WOTA」が開発したもので、今回は日本財団のサポートを受け、北良、WOTA、それにソフトバンクの3社を中心とした支援態勢を構築。

北良が担当している輪島市と穴水町では合わせて80台以上が稼働している。

北良 笠井健社長
「避難所で感染症がまん延したとき、手洗いが必要だということで医療従事者と避難所を運営する人から求められ、ニーズがすごく強くなった」

北良が手洗い装置を設置した輪島市の病院の看護師は、その効果についてこう話す。

市立輪島病院 感染管理認定看護師 横地仁美さん
「職員も手が洗えて患者さんの世話もできるし、患者さんも手が洗える環境が整ったことが一番効果があった」

また、輪島市内の避難所では北良が設置したシャワー室の運用を地元の住民が引き継ぎ、連日多くの人が利用しているという。

輪島市の避難所でシャワー室を運用する 山本襟さん
「ありがたい。浴びる場所もなく、何週間ぶりという人もいたので。『浴びられて気持ちよかった』と皆さんよく言っていた」

笠井社長は、被災地で支援活動を行ってきたこの1カ月をこう振り返る。

北良 笠井健社長
「過去の災害で、苦労したこと・課題をそのままにせずに、解決するまで継続して改善していくというか。そういうことを続けなければとあらためて思った」

現地では仮設住宅の建設など、徐々に復興への歩みが始まる中で、被災した人に対するこれからの支援については…。

北良 笠井健社長
「衣食住がそろってきたときに、生きがいというか社会の中の役割を取り戻すことが必要になると思う。これを取り戻すところに、色々な人の支援が必要になると思う」

北良の支援チームは、1月31日に再び石川県に向け出発し、2月いっぱいは現在の支援を継続するという。

岩手めんこいテレビ
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