目をつむり、脱力した様子で捜査員の腕にもたれかかる男。

この記事の画像(26枚)

7日に茨城県内の2つの場所で暴走事件を起こし、建造物損壊の疑いで逮捕された、益子泰容疑者(53)です。

7日午後1時ごろに日立市役所の広場に、約30分後に東海村役場の正面玄関と、2つの場所でそれぞれ異なる車で暴走事件を起こしたとみられる、益子泰容疑者。
現場で取材を進めると、容疑者の異様な行動が明らかになってきました。

2度の“暴走” 信号を無視し猛スピードで走る姿も

最初に車が突っ込んだ日立市役所では、事件当時、広場で障害者関係のイベントが行われていました。

そこに突然、黒い乗用車が現れたといいます。

暴走した車に吹き飛ばされたとみられるものが散乱している
暴走した車に吹き飛ばされたとみられるものが散乱している

暴走車を目撃した人:
車が中にスーッと入って行ったわけですよ。何も意識してなかったけど、そしたらガシャガシャと音がしたから見ると黒い車が。で、Uターンして今度はこっちに来て。
頭が丸刈りのゴツいやつが、車でわーっと行って。(タイヤに)みかんの箱とか挟まったまま、ガーっと音を立てながら、南に信号を無視して走っていった。

車は、道路からイベント会場に進入。人や物をひきながら広場を突っ切っていったといいます。

暴走車を目撃した人:
女の人があお向けになって倒れていて、その脇で男の人が座っていた。その周りに大丈夫?という感じでみんないた感じだよね。

暴走車にはねられた、イベントスタッフの40代の女性と、参加していた20代と30代の男性がけがをしました。

その後、車はUターンをしながら現場から逃走。目撃者によると、逃走するまで1分ほどの出来事だったといいます。

信号無視して走る容疑者のものとみられる黒い車
信号無視して走る容疑者のものとみられる黒い車

日立市役所での暴走後に、特徴がよく似た黒い車を捉えた映像には、反対側の車線を、信号を無視し、猛スピードで走り抜ける様子が映っていました。

フロント部分は破損し、何かを落としながら走って行った
フロント部分は破損し、何かを落としながら走って行った

途中、挟まっていたものが落ちたのでしょうか、道路上に何かを落とし、つぶして走り去って行きました。

日立市役所の暴走から約30分後。直線で約15km南にある東海村役場で、次の事件が起きたのです。

白い車が突っ込んだ、東海村役場の正面玄関
白い車が突っ込んだ、東海村役場の正面玄関

今度は、東海村役場の正面玄関に白い車が衝突。突っ込んだ車はフロント部分が激しく損傷し、ボンネットも開いた状態に。

突っ込んだ車はボンネットが開き、フロント部分が激しく損傷している
突っ込んだ車はボンネットが開き、フロント部分が激しく損傷している

役場の玄関の手前には、6本の大きな柱があり、車寄せから正面玄関に行き着くためには、それにぶつからないように避けて運転しなければいけません。

東海村・江田五六 村議会議員:
もう明らかに、これは過失運転ではないということは確信しました。

近隣住民が見た容疑者の不可解な行動

警察に対し、「2件とも自分がやった」「行政に不満があった。恨みがあった」という趣旨の発言をしているという益子容疑者。

しかし、日立市役所の広場に現れたのは黒い車で、茨城県東海村役場に突っ込んだのは、全く別の白い車でした。なぜ異なる車で2度の暴走を行ったのでしょうか?

益子容疑者が住むアパート近辺で取材すると、アパートの駐車場には、他の車にぶつかったまま止まった黒い車が。

容疑者のアパートの駐車場に止まっている黒い車
容疑者のアパートの駐車場に止まっている黒い車

容疑者の家族名義のもので、暴走した車と同じものとみられます。

近隣住民によると、事件当日の午後1時半ごろには、駐車場に止まっていたという黒い車。

さらに驚くべきことに、その助手席には70代の容疑者の母親が乗っていたといいます。母親を乗せたまま、日立市役所のイベント会場を暴走していた可能性も。

この時、近隣住民は益子容疑者の“不可解な行動”を目撃していました。

近隣住民:
まさか、お母さん置いて逃げるっていうのは、もうビックリですね。トマトを放り投げて逃げていったから。

駐車場に残された、投げられたトマトの残骸らしき痕
駐車場に残された、投げられたトマトの残骸らしき痕

なぜか、トマトを放り投げ、母親を車に残しそのまま別の車に乗り換えて、東海村役場へと向かったとみられます。

なぜ暴走行為に及んだのか?

行政に対する不満を口にし、異なる2つの役所を狙った益子容疑者。

なぜそのような行為に走ったのか?めざまし8は、2人の心理学者を取材しました。

――役所に車で突っ込んだのはなぜなのでしょうか?
東京未来大学 出口保行教授:

市民生活を統括する役所を襲撃することで、大きく報道されることへの期待。事件を起こすからには目立たなければ意味がないと。

明星大学 藤井靖教授:
行政は“怒りの矛先”になりやすい場所。感情をぶつけられやすく、八つ当たりの対象になった可能性も。

――なぜわざわざ車を乗り越えて再び犯行を?
東京未来大学 出口保行教授:

2回目の確実性を上げるため。1回目の時に車が破損していることもあり、確実に2回目の犯行も成し遂げたいから。

明星大学 藤井靖教授:
“思い出し怒り”の可能性。一度収まった怒りがこみ上げてきて、再び怒りをぶつける矛先を探していた。

暴走行為の背景には、いったい何があったのか。警察は事件の詳しい経緯を調べています。
(めざまし8 12月7日放送)