岸田首相は、15日、来年の春闘で2023年の実績を上回る賃上げを働きかけるため、経済界のトップ「経団連」の十倉会長、労働組合の全国組織のトップ「連合」の芳野会長との政労使会合を首相官邸で行った。
岸田首相はこの中で「企業における賃上げ努力を後押しする一方で、政府としても賃上げを含めた可処分所得の増加に向けて、過去に例のない取り組みを見込みます」と強調した。
さらに「2024年の春闘に向け、今年を上回る水準の賃上げの協力をお願いします」と経団連の十倉会長を前に直談判した。2023年春闘について「連合」がまとめた結果は平均で3.58%だったので、岸田首相は、これを上回る賃上げを求めた形だ。
また政府としても「中小企業が使いやすいよう賃上げ税制を拡充する」として、賃上げ企業に税制優遇を行う形で、企業の賃上げの後押しを行う方針を示した。
岸田首相は、所得税減税と給付を柱とする経済対策に加えて、賃金アップの実現で2024年夏には「所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作りたい」と掲げている。
政労使会合に先立ち、岸田首相は「賃金が上がる好循環は、まだ完成していない」として「私が先頭に立って、2023年を上回る水準の賃上げを働きかける」と意欲を見せていた。
経済対策の評判が低く、政権支持率も20%台の「危険水域」に落ち込み、政権の先行きにも直結する中、賃上げ要請の”直談判”に岸田首相は力を込めた。