会社の運転資金などの名目で、顧客5人から約800万円をだまし取った詐欺などの罪に問われている住宅設備会社の元社長の判決公判が11月10日、長野地裁で行われた。裁判官は「常習性には際立ったものがある」などと指摘し、被告に懲役3年6ヵ月の実刑判決を言い渡した。

検察「闇金への返済、ギャンブル…」

詐欺などの罪に問われているのは、長野市でソーラーパネルの販売などをしていた会社の元社長・田中一明被告(39)。 

起訴状などによると、被告は2021年4月から5月に、「蓄電池を仕入れすぎて、支払いができない」、「売掛金で絶対に返せる」などとうそを言い、顧客5人から会社の運転資金名目であわせて790万円をだまし取ったとされている。 

資料 長野地裁
資料 長野地裁
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あわせて、2022年11月、奈良県内で特殊詐欺の「受け子」を車で被害者の家まで送ろうとした窃盗未遂の罪にも問われている。 

検察はこれまでの裁判で被告が経営していた会社はいわゆる「自転車操業」状態で、闇金への借金返済や会社の運転資金に充てるためギャンブルで金を増やそうとしたものの利益は出ず、顧客から金をだまし取るようになったなどと指摘。 

裁判官「常習性は際立ったもの」

長野地裁の坂田正史裁判官は11月10日の判決公判で「取引客の信頼を逆手に取る形で多額の現金をだまし取り、常習性には際立ったものがある」などと指摘。 求刑5年に対し、懲役3年6ヵ月の実刑判決を言い渡した。 

弁護人によると、控訴するかどうかは被告と相談して決めるという。 

被告が社長を務めていた会社の事務所
被告が社長を務めていた会社の事務所

被害者「お金を返してほしい」

関係者によると、被告は同様の手口で他にも金をだまし取っていて被害件数は約50件・総額1億5000万円にのぼる見込みだという。 

今回の起訴内容とは別で、被害を訴える男性は裁判を傍聴し、判決後、NBSの取材に「持って行ったお金を返してもらいたい。刑期を終えてからの良心を信じて見ていたい」などと胸中を語った。

(長野放送)

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